yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

NHKドキュメンタリー「上京 故郷に背を向けて」プレミアムカフェ 10月23日放映(初回放送:2008年)

もう10年近く経っているドキュメンタリー。でもあまりにもの「今感」で、とうとう最後まで見てしまった。青森県津軽を本拠地とする地域劇団「弘前劇場」の主宰者である長谷川孝治氏と他の劇団員たちとの「交流」(こんな生易しい言葉で表せない「闘い」なんですが)、そして劇団員それぞれの日常生活。さらに実際の舞台を追ったドキュメンタリー作品。この中の光景はきっと今でも多くの劇団で実際に進行中であるだろうもの。劇団に身を置いたことのない私でも、「身につまされる」感が半端ない。

「プレミアムカフェ」としての再放送が今年4月3日だったよう。その時の情報を公式サイトから。

番組内容
ハイビジョン特集 上京 故郷に背を向けて(初回放送:2008年)青森県津軽を本拠地とする劇団員に密着、地方に住む人間にとって「東京」とは何かを描く
出演者ほか
【出演】長谷川孝治,山田百次,【語り】キムラ緑子,【スタジオゲスト】木野花,【スタジオキャスター】渡邊あゆみ

まず、タイトル、「故郷に背を向けて」は中立な表現とはいえない。なぜならある視点からの偏りがあるから。それを表すのが番組終了後の木野花さんのコメント。それはおそらくは退団していった山田百次さんに主として向けられたものだった?「地域劇団の枠を超えて全国的に有名であり、優れた劇作家/演出家の長谷川孝治氏を主宰者にもつ「弘前劇場」を退団し、東京で演劇で立って行くなんてのは無謀。東京で演劇をするなんて、そんなに甘いものではない」というものだった。残念ながら木野花さんを舞台、テレビ等で拝見したことがないので、どんな方かとWikiをかけたら、ご自身も青森出身で、上京して演劇活動をされていた。厳しいコメントはご自身の経験から出たのではあろうけれど、挑戦する心意気に水を差すもの。このドキュメンタリーを見れば、山田百次さんがどういう悩み、葛藤があり、お連れ合いの事情もあり、その上での上京だったというのが、よくわかるから。

山田百次さんの現在が気になったので、こちらも検索をかけたら、なんと東京で劇団を主宰しておられた。Twitter情報では、「劇団野の上、青年団リンク ホエイ、津軽弁一人芝居『或るめぐらの話』」といった活動をしておられるよう。うれしかった。

この番組に見入ってしまったのは、去年弘前を訪れたから。秋田の康楽館に行った帰りの道中で立ち寄ったのだけど、弘前のカルチャーのレベルの高さに圧倒された弘前文学館では特に弘前カルチャーの集大成的な展示に感動した。

街はこのドキュメンタリーが撮られた2008年当時から「寂れつつ」あったらしいけど、他所者の目には違って見えた。歴史、文化ともに東北を代表する地域であるのは、一目瞭然だった。文豪たちを輩出したのは当然と思われる環境がそこに息づいていた。もちろん、最も興味があったのは青森出身の寺山修司の展示。彼の青森とは離れてはいるものの近くであるというだけで、感慨深かった。寺山、生まれは弘前、でも弘前よりももっと鄙びた八戸で主として育っている。

そういえば「弘前劇場」主宰の長谷川孝治氏も劇団を立ち上げた頃は「アングラ劇」をやっていたらしい。アングラ演劇はその頃にはおそらく消えかかったともし火だったのでは?それから方針転換、日常から生み出されるリアリティに乗った(則った)舞台を志向している。このドキュメンタリーに出てくる『休憩室』の舞台を見たいと思った。高校教員をしていたことがあるので、職員室の光景は、それこそ懐かしくも、おぞましくもあった。