yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

旅芝居らしいお芝居で魅せる「森川劇団」@池田呉服座7月

3日(夜の部)、6日(夜の部)、そして今日7日(昼の部)と三日間見てきた。久しぶりにこれぞ旅芝居!というお芝居を見た気がする。大阪風でもなく、九州系でもない。それでも旅芝居のエッセンス満載の芝居をしっかりと魅せてくれる。「森川劇団」の出自が関東と知り、なるほどと腑に落ちた。九州の重さ、暗さがない。かといって大阪のべったり感もない。軽妙なんだけど、きちんとメリハリがつけられている。非常に気持ちの良い舞台。

気持ちがいいといえば、座長の竜二さんをはじめ座員さんたちのお人柄がいい。でも、関西風の女性的な柔らかい雰囲気ではなく、どちらかというと気っ風の良さが前面に出ている。こういうのも関東なのかも。男性的なんですよね。だからお客さんも大衆演劇の劇団に付く客とはいささか違っている。普通の人たちがほとんど。劇団の雰囲気がチャラくないので、それを期待して見にきている人は去っていくのだろう。もっとも、大衆演劇のチャラさを私は嫌いではない。「大衆」に合わせる一つの路線として昔から脈々と受け継がれてきたものだから。でも、森川劇団の硬派ぶりも好き。あの男っ気とあっさり感が新鮮に映る。

ここしばらくの成田屋の「大衆迎合」の狂奔、堕落ぶりを見ていると、大衆演劇の方がはるかに潔く清潔な感じがする。松竹の庇護のもと、安逸を貪ることで、歌舞伎は悪い意味で女性化し、その原点を見失ってしまったのかも。悪貨は良貨を駆逐する。あんなのが一人いるだけで(一応宗家ですから)、歌舞伎は「芸術」から遠ざかる一方。顔を見ると反吐が出そうなので、彼が出る舞台は絶対に見ない。歌舞伎のNew Waveを作り上げようと挑戦している他の真っ当な役者たちが気の毒。さぞかしうんざりしていることだろう。失礼、つい感情が高ぶってしまった。

実は森川劇団は初めてではない。2009年2月に新開地劇場で見ている。ただし一度のみ。大衆演劇を見始めた頃だった。森川長二郎座長だった。そのあと竜二さん、竜馬さんが「たつみ演劇BOX」 にゲストに来られたときも見ている。男性の応援団が大挙して来られていたっけ。そういえば、その頃から「男組系」だったんですね。残念ながら、そのときの舞台の詳細は覚えていない。スミマセン。

6日は座長の竜二さんが梅田呉服座にゲストに行かれたので、座長の代わりを副座長の竜馬さんが務められた。芝居は『峠の茶屋』。役名を控えていたスマホのメモがなぜか消えているので、大雑把なあらすじのみを。

百姓の老爺のところに土地のヤクザの親分がやってきて、貸した金を返さないと、娘を連れて行くと脅す。それをを通りがかりの旅人が助ける。老爺が借りていた1両を親分に返す。感謝の気持ちから、老爺はその夜泊まってゆくように勧める。その旅人には顔に大きな痣があり、そのため今まで散々差別を受けてきた。だがこの老爺は、彼を温かく迎え入れた。それに感激した旅人は身の上話をする。涙する老爺とその娘。

そこへ三年間留守にしていた放蕩息子が帰ってくる。なんでも江戸で行き倒れたところを大店の主人に助けられ、そこで真面目に働くことで20両もの大金を作ることができたのだという。故郷へ帰る際、主人が10両も餞別をくれたので、合計30両という金を持って帰ってきたのだという。ところが、その30両を途中の峠の茶屋ですられたしまった。その盗んだ男というのは顔に大きな痣があったという。娘はその人なら中にいると言ってしまう。

老爺が止めるのも聞かず中へ入る息子。二人が外に出てくる。自分に罪をなすりつけるとは、今まで自分を差別してきた人たちとなんら変わらないと怒る旅人。ここで旅人と息子がそれぞれ持っている振り分け荷物がそっくりなのに気づく観客。ああ、そういうことかとオチもわかってしまう。ここで旅人対息子の息詰まる睨み合い。自分の荷には母の位牌が入っているという旅人。しかし、切り裂いた中から出てきたのは小判。衝撃を受ける旅人。自分を殺すようにと短刀を息子に差し出す。それを止める老爺。息子も旅人の謝罪を受け入れる。

老爺、娘、息子が見送る中、雨の中を去ろうとしている旅人。彼に傘をさしかける老爺。こういう場面はいかにも大衆演劇というか旅芝居のもの。たっぷりと見せる。ちょっとしつこいぐらいに。私はこういうのは苦手なんだけど、でもこれぞ旅芝居なんだとも納得する。ある種のカタルシスがあるのも事実だから。そういうカタルシスを求めて、客は芝居を観にきているんだろうし。旅人を竜馬さん。老爺を太夫元。息子を順平さんという配役。

今日(7日)のお芝居は『大前田英五郎旅日記』(だったと思う)。こちらは何度も見たことのあるお芝居。人口に膾炙しているだろうから、割愛。

そうそう、3日に観劇した折に、思わず「えっー!」と叫んでしまったのが、三代目森川長二郎さんが復帰されていたから。でも7年にわたる不在で、ヒラ座員として、それも名を一代新之助と変えての復帰。最初に気づいたのはミニショー。立ちで踊られたのがあまりにも上手かったから。ひょっとしてと思っていたら、芝居中に太夫元から言及があって、「やっぱり」と思った。それにしてもお上手ですよね。以前に彼のファンだった方々、ぜひいらっしゃってください(私がCMするのもナンですが)。7年間の外での経験は無駄になっていないと判ります。

座長の竜二さん、女型、立ち共に素晴らしい。竜馬さんも然り。彼の場合、あの大きな(身長180cm越え)方がとてつもなく美しい女性になるんですから、驚きです。それと先ほどの新之助さん。今のところ立ちのみ。でも圧巻です。女性陣も素晴らしい。なみさんって方、座長か副座長のお連れ合いだと思うのだけど(間違っていたらごめんなさい)、今まで見てきた女性の踊り手の中では澤村かなさんと同格。上手い!今日も見ほれてしまった。順平さんはとても素直な踊り。お顔が綺麗なので、それだけでも見ていて飽きない。そういえば全員が美形。それも清潔な感じで嫌味がない。ステキな役者陣です。必見。

それと、普段は竜二さんが口上をされるようで、これがまるで落語。ちょっと毒が効いていて、楽しい。客席をいじるのだけど、いじられた人は大喜び。6日は竜馬さんが口上をされた。こちらも竜二さんに劣らず辛口。でも可愛い。ウィッティなんですよ。交代でやってくれないかな。小泉たつみさんの口上も楽しいけど、こちらのお二人はもっとマッチョ。これも楽しい。

そうそう、8日からの大まかな演目と予定が張り出してあった。以下。