yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ボリショイバレエ『パリの炎』@滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール6月10日

今日のプログラムが以下。

音楽:B.アサフィエフ
原振付:W.ワイノーネン
改訂振付:A.ラトマンスキー
舞踊監督:M.ワジーエフ
管弦楽ボリショイ劇場管弦楽団
【キャスト】
ジャンヌ:エフゲーニャ・オブラスツォーワ
フィリップ:イーゴリ・ツヴィルコ
ジェローム:アレクサンドル・スモリャニノフ
アデリーヌ:アナ・トゥラザシヴィリ

日本では初演というこの作品。期待して出かけた。2012年に、ボリショイバレエの『ライモンダ』をここで見ている。このとき、振付/演出が地味に思えたけど、今回もやっぱり同様の感慨を持った。ただ、現地ボリショイでご覧になった方(ボリショイ・バレエ「パリの炎」現地レポート2017年1月13日付)は違った評価。以下。

ダイナミックなパ・ド・ドゥが有名な『パリの炎』。
この全幕もののラトマンスキー版『パリの炎』は、民衆が主役であるという本来の革命同様、舞台に登場する全てのダンサーのエネルギーを大胆に紡いだ非常にドラマチックな作品になっている。

民衆が抑圧された生活の不満から義勇軍と一体となって志気を高めていく一方、豪華絢爛な宮廷生活を満喫する貴族たちとその館。革命の赤ではなくここでは美しい赤の衣装を纏った劇中劇『リナルドとアルミーダ』も見どころ。マリインスキー劇場から移籍し、2016年シーズンからプリンシパルに抜擢されたユリア・ステパノワが上品な舞を披露して喝采を浴びていた。貴族たちによる優美で流れるような手つきの上品なメヌエットと、拳を振り上げ勇ましく両足を踏みならす民衆の力強いステップとの対比は、貴族と庶民間の歴然たる階級社会を見せつける。

ラトマンスキーの振付は、踊りの流れとフォーメーションの変化によって、ダンサーひとりひとりの持つエネルギーを「爆発させよ」というニュアンスを暗にはらんでいる。民衆がステップを踏みながら舞台上をジグザグに駆け抜ける躍動感は、革命を起こそうとする民衆の気持ちの高まりそのものであり、途中挿入される「ラ・マルセイエーズ」は、これが歴史の物語だということを改めて思い出させる。更に主役を取り囲むダンサー達の活発で大胆なボリショイ・バレエらしい演技は、その時代を生きる人々をリアルに体現しており、否応なく観客を舞台に引き込んでいく。

この作品の演出をしたラトマンスキーといえば、この3月に特別上映会で見た『くるみ割り人形』(キエフバレエ団=現マリンインスキーバレエ団)のアルルカン役がすばらしかった

彼は2009年1月よりアメリカン・バレエ・シアター(ABT)アーティスト・イン・レジデンスに就任しているそう。才能を買われての「出世」ですね。それでなくても、ボリショイは内部のゴタゴタがあったようで、それに嫌気がさしたのかも。というものの、『パリの炎』の振付にはあまり感心しなかった。現在のボリショイも彼の振り付けをそのまま踏襲しているようで、「なぜ?」と訝かしかった。

まず衣装がダサい(スミマセン)。とりわけ、(フランスを象徴する?)トリコロールカラーのリボンを体に付けるのをやめてほしい。ネットチェックをかけるとあれが「定番」になっているようですが、パリ・オペラ座バレエ団なら変えるでしょう。なんといっても粋じゃない。これから革命を起こすというのに、あんなテレテレした衣装では、「貴族」に勝てませんよ。逆に思いっきり泥臭い衣装にした方がリアルだし「おしゃれ」。色はベージュかカーキ(労働者カラー)で。

イーゴリ・ツヴィルコのソロがが際立っていた。それと貴族の娘、アナ・トゥラザシヴィリ、美人の上に踊りも上手い。あとの踊り手もそれぞれによかったけど、この二人に比べると凡庸だったかも。びわ湖ホールの踊り手はひょっとして東京や西宮より格下?ちょっとがっかり。

第一幕にかなり意気消沈してしまったのだけど、第二幕はそれを挽回してくれた。アメリカのミュージカルを思わせる布陣で躍動的に動く群舞。これは圧巻。ただ、「劇中劇」の部分があまり生きていなかった。ABTならきっと違った演出をするだろう。

ABTといえば、モダンダンスの極致がみれるけど、今回のボリショイは、モダンと古典との間に自らの居場所を探しあぐねているようにみえた。それくらいなら、『白鳥の湖』のような古典に徹していた方がいいのかも。でも若いダンサーたちはそれでは納得しないだろう。ラトマンスキーに戻ってもらい、改革をしてもらってはいかがでしょうか。それかうんと若い演出家/振付師を招来するか。何れにしても、もっと刷新した方がいいように思った。

口惜しいけど、ザハーロワは「白鳥」のみ?芸文センターのチケットが取れなかったので、見れなくても仕方ないか?