yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

舞囃子『恋重荷』in 赤松禎韻会@大槻能楽堂 5月28日

赤松禎友さんの社中会(お稽古をされている素人の会)。ひょっとして大槻文蔵さんも出られるかもと期待して出かけた。願いが叶った。シテの謡をされたのは遠藤肇さん。姓が当方と同じなので親しみがわく。みごとに謡いあげられた。ワキを務めたのが大槻文蔵さん。地謡の方々の名前が定かでなくて申し訳ないけど、赤松禎友さん、上田拓司さんはわかった。

何よりも良かったのはお囃子。小鼓は大倉源次郎さん。大鼓は山本哲也さん、太鼓は上田悟さん、笛は杉市和さん。ワキ、お囃子、地謡にこのメンバーが揃っているなんて、大感激!一分一秒を惜しんで聴き入った。「時よ止まれ!」って心で叫びながら。

『恋重荷』は先月東京、宝生能楽堂での「銕仙会定期公演」で見ている。野村四郎さんのシテ、森常好さんのワキだった。

今回の方がしっくりきたのは、素人さんがシテ役だったからかもしれない。シテに自身をアイデンティファイして(遠藤肇さん、ごめんなさい)、共に演じているような感覚。そこに連れ添ってくれるのが文蔵師。こんな贅沢はないでしょ?人間国宝の文蔵師なんですからね。至福の数十分だった。

文蔵師の語り、謡いにはバイブレーションがかかっていて、観世寿夫さんを思わせた。繊細で、でも強靭で、しみじみ聴き手の体に沁みわたる。シテの老人へのシンパシーが伝わってくる。老人の非現実的な恋に連れそう感じ。やさしい。

それをサポートする囃子の素晴らしさ。源次郎さんと哲也さんの組み合わせは最強。シテの強い思い、ワキのシテへの同情の念、まるで煽るのようなテンポで響き渡る囃子の音。クライマックス。やがてそれが落ち着くところに落ち着く。流れを支えるのが囃子。シテの無念もワキの同情もこの囃子があってこそ生きてくる。

この番囃子をその場で聴いている時にはそんな「雑念」はなく、頭の中は空っぽ。この無の状態に、圧倒的な力でもって謡と囃子が突き刺さってきた。