yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

曽和博朗師一周忌追善「逹磨会」@大槻能楽堂4月29日

まず、この会に出席できて感激。そして限りなく幸せ。こんな贅沢な時間を過ごせたのが、未だに夢だったのではと思えるほど。ずっとずっとその場に身を置いていたかった!視福、聴福の至福のときを過ごせた。それも5時間以上に渡って。

成田逹志さん主宰。彼は小鼓方幸流の能楽師。師匠の曽和博朗師の追善公演を企画、実行された。Wikiで見ると、「1988年より清水晧祐(小鼓方大倉流)・山本哲也(大鼓方大倉流)・守家由訓(大鼓方観世流)・中田弘美(太鼓方金春流)ら大阪の能楽師囃子方の同世代と共に能楽グループ『響』を結成(〜2002年)。2002年より山本哲也とともに、能楽ユニット「TTR能プロジェクト」結成、能楽堂にとらわれないライブ能など意欲的な舞台を作る」とあった。

大鼓の山本哲也さん、太鼓の中田弘美さんは今までに何度も演能で聞いてきた方たち。いずれの方もパワフルかつ繊細な演奏が特徴の素晴らしい演奏者さんたち。

若手の企画とはいうものの、内容はこれ以上ないほどの濃さだった。前日に見た「風の能」での演者のほとんどが参加しておられた。もちろん梅若玄祥師も。大倉源次郎さん(東京在住)、藤田六郎兵衛さん(名古屋在住)の参加がなかったのは残念だったけれど、それでも小鼓方、笛方共に若手の優秀な演奏者さんたち、そしてシテ、ワキ方共に関西在住のトップの演者さんたちが参加。見所が満載の会だった。「こんな贅沢を味わわせていただいて、いいのかしらん」と、何度も体をつねったほど。

シテかたでは味方玄さん、片山九郎右衛門さん、そしてもちろん梅若玄祥師。こちらも人間国宝の大槻文蔵さんは『砧』に味方玄さん、梅若玄祥師とともに出られた。完全な能はこの『砧』のみで、これは別記事にする。

関西一円、それぞれの拠点で活躍される能楽師の方たちが打ち揃っての会。私が今までに拝見した方々のみ挙げてみる。京都からは玄さん、九郎右衛門さん、分林道治さん、河村宝塚、箕面地区からは梅若猶義さん、梅若基徳さん、神戸、芦屋方面からは上田貴弘さん、吉井基晴さん、大阪地区からは赤松禎友さん。ワキ方では福王茂十郎さん。まだまだ漏らしているかもしれないけど、ご容赦。

この会で初めて舞姿を拝見した能楽師の方で、素晴らしかったのが赤松禎友さん。「融」を舞われたのだけど、謡の声の良さと舞の折の姿勢の美しさに打たれた。

それと、こういう会は先日の湊川神社でのものに続いて2回目だったのだけど、人間関係の「民主的」であること!感動ものだった。あの人間国宝の梅若玄祥師がかなりの数、地謡に出ておられるんですよ。序列はあるのだろうけど、それに関わらず互いに協力し合うという姿勢に打たれた。上っ面しか見ていないとお叱りを受けるかもしれないけど、少なくとも私にはそう映った。厳しい稽古を積み重ね、その極みに到達された(到達しつつある)方々。その凛とした姿勢はそのままパフォーマンスの美しさになって結実している。こういう芸能は初めて。改めて能の世界の奥深さに思いを至らせた。

10時始まりだったのに遅れて11時半ごろ能楽堂に到着。席がないかと心配したけれど、いい席に座れた。7時ごろ終わるということだったのに、帰宅時間が気になり5時ごろ退出。最後までこの至福を味わいつくすことができず、残念。もっと体力と気力を充実させて、この会に備えればよかった。ありがとうございました!