yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

新年能 能「西行桜」〜観世流NHK eテレ

NHK元旦恒例の「新年能」、何回かちらっとだけ見たことがあったけれど、いつも退屈して続かず。それが今朝は最後まで通して観た。

以下、番組サイトから。

世阿弥の傑作、能「西行桜」を人間国宝・野村四郎ほか豪華な出演陣でお送りする。【演目】能「西行桜」〜観世流 【出演】野村四郎・福王茂十郎・山本東次郎 ほか 【内容】花見禁制のふれを出していた西行のいおりに花見客がやってくる。西行はそのことを嘆き、桜のために静かな生活が乱されたと歌を詠む。その夜、西行の夢に老桜の精が現れ、桜に咎(とが)はないと述べ、静かに舞う【収録】2016年12月6日於宝生能楽堂

「能“西行桜”〜観世流〜」
シテ(老桜の精)…(シテ)野村 四郎、ワキ(西行上人)…(ワキ)福王 茂十郎、ワキツレ(花見人)…(ワキツレ)福王 和幸、ワキツレ(花見人)…(ワキツレ)福王 知登、ワキツレ(花見人)…(ワキツレ)喜多 雅人、ワキツレ(花見人)…(ワキツレ)矢野 昌平、笛…(笛)一噌 庸二、小鼓…(小鼓)大倉 源次郎、大鼓…(大鼓)國川 純、太鼓…(太鼓)小寺 佐七、後見…(後見)観世 恭秀、後見…(後見)武田 尚浩

地謡…(地謡)観世 清和、地謡…(地謡)武田 宗和、地謡…(地謡)岡 久広、地謡…(地謡)関根 知孝、地謡…(地謡)藤波 重彦、地謡…(地謡)野村 昌司、地謡…(地謡)角 幸二郎、地謡…(地謡)坂口 貴信

シテの詠嘆、「をしむべし 得難きは時 逢ひ難きは友なるべし」に思わず涙した。若いときに聞いても、身につまされなかっただろう。それが胸に迫る。「若さ」は時間が支配できていると錯覚させる。自身の時は「去るもの」。そう悟るのは、終末を見据えるようになってから。友も同じだろう。いずれも得がたい、逢いがたい。手にしているようでいて、そこをすり抜けてゆく。その無常、無情をシテはことばと繊細な振りで示す。この詞の後に「春宵一刻価千金。花に清香月に影」と続く。

そこからはクライマックス。シテと地謡の掛け合いとなる。「春の夜の 花の影より 明け初めて 鐘をも待たぬ別こそあれ。別こそあれ。別こそあれ」。

春の夜が明けそめ、夢も覚める。惜春の少年の夜は明けるが、老翁となったシテは「さびて跡もなし」。古語「さぶ」は「弱くなる/あせる」という意味らしいので、消えてゆくという意味だろうか。少年と老爺との際立った対比がビジュアルなイメージで立ち上がってくる。なんとも切ない。

上の詞は「宝生流謡曲 西行桜」のサイトから引用させていただいた。

シテは人間国宝の野村四郎氏。見るのはもちろん初めて。小鼓方の大倉源次郎さんは先日の「能楽ワークショップ」の講師をしてくださった方。何か嬉しかった。