yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「狂言への誘い」@川西市みつなかホール12月22日

1月7日にみつなかホールで茂山家の「新春川西公演」が開催されるが、その準備レクチャー。レクチャーといっても、茂山逸平、茂山童司お二方の鼎談もどきの狂言イントロダクション。「逸平&童司の狂言をとことん楽しむ方法Part VII」と副題が付いている。タイトルを裏切らない楽しさだった。充実した時間だった。

狂言大蔵流は来年、千作、千五郎ご両名の襲名という一大イベントを控えている。四世千作さん(2013年没)のあと、十三世千五郎(正義)さんが五世千作を襲名される。また正邦さんが十四世千五郎を襲名される。茂山家の二代名跡のダブル襲名というおめでたい行事。

登場されたお二人、逸平さんが37歳、童司さんが33歳とお若い。逸平さんは「花形狂言少年隊」を結成されたり、「教育的古典狂言推進準備研修練磨の会(TOPPA!)」を主催、新しい狂言のあり方を模索されている。またテレビにも出演されることが多いとか。私は残念ながら見ていないのだけど。童司さんは先日春日大社若宮の奉納能で拝見した茂山あきらさんのご長男。逸平さんと共に「花形狂言少年隊」や「TOPPA!」に参加されている。ご親戚で、仲がよく微笑ましい。お二人の掛け合いも息が合っている。

お二人の会話は歌舞伎の襲名についての話(童司さんは「雀右衛門襲名興行に参加されている?とか)で始まり、それをきっかけにして茂山家の襲名へと話が発展。それからは文献で辿れるお二人のご先祖、茂山徳兵衛という狂言師に遡るという展開。1687年の文献に京都油小路在住の狂言師として名が残っているとか。その後、二世千作さんが「お豆腐のような狂言」と揶揄されたのを逆手にとって、自らを「お豆腐狂言」と標榜したとか。反骨精神に溢れる一族だったんですね。狂言の解説を聴くのはこれが初めてだったので、興味深かった。

質疑応答のコーナーで話がちらっと東京の狂言に及んだのだ。今年、野村万作、萬斎さんの狂言を見たところだったので、東京と関西の狂言の違いはなんとなくわかる。緊張関係がありつつ共存するというのが、狂言の二つの流派の現状だというのが、伝わってきた。能にもそれがあるのかもしれないけど。

先日、春秋座で見た『繻子の靴』に逸平さんとそのお父上の七五三(しめ)さんが出演しておられた。お二人の声の良さと姿の良さが際立っていた。身体が決定的にいわゆる新劇俳優とは違うと認識させられた。

この後、逸平、童司お二人によるミニ狂言、「酢薑(すはじかみ)」が披露された。ウェブから採った解説を付しておく。

<登場人物>
堺の酢売り   逸平
摂津の薑売り  童司    

<内容>
都の祗園会へ商売に出掛けた摂津ノ国の薑売りは、道中和泉ノ国堺の酢売りと出会います。互いに商売物の自慢と由来を披露し、更には商売物に掛った秀句(洒落句)を云いながら商いを始めます・・・。

互いの自慢を競い合うというよりは、秀句を楽しむ雰囲気と笑いに興じるほのぼのとした演出になっています。

《薑》は、現在では生姜の事とされていますが従来は山椒とも。薑が辛いので「カラ」の韻を踏んで由緒や秀句を進めていきます。別名「酸辛(すいからし)」という異名も残る作品です。

徹底した言葉遊び。酢売りと薑売りとの違いを出し抜こうとする掛け合いが笑えます。確かに逸平さんが後でおっしゃったように、勝負は酢売りの勝ちですよね。ほのぼのとしていて、日本人の穏やかな、他者に対して寛容な心性がよく表れている狂言。勝負する場合でも、何か抜けているというか、とんがりがないんですよね。騙されても笑い飛ばせる。こういう穏やかで優しい人たちなんですね、日本の人たちは。狂言を見ると私たちが何に価値を置いていたのかが、なんとなくではあるけど伝わってくる。とんがった自分自身を省みたりするんですけどね。

ちなみに1月7日のみつなかホールでの「新春狂言」、演目が垂涎もの。茂山家総出演の様相。演目は「三本柱」、「木六駄」、「鶏聟」。公演のサイトをリンクしておく