yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』COSÌ FAN TUTTE英国ロイヤル・オペラ・ハウスシネマ(2016年10月収録分)@TOHOシネマズ西宮12月13日

TOHOが英国ロイヤルオペラと提携しての企画。リンクしておく。本場のオペラ、バレエが日本に居ながらにして見れるという企画、「METライブビューイング」(こちらは松竹が配給)が先鞭をつけたのだけど、すごい勢いで広まっているようで、喜ばしい。ナショナル・シアター・ライブもその一翼を担っている。観劇料金はほぼ同じで3600円。確かに本場で見る場合は2、3階席でもこの倍はするから、一応リーズナブルと言えるかもしれないけど、シネマ歌舞伎が2000円前後だから、もう少し安くてもいいんじゃないかと思う。まあ、輸入するわけで、これがギリギリなのかもしれないんですけどね。それに、今のところ認知度が低いため、集客数もシネマ歌舞伎ほどではないだろうから。

以下、このプロジェクトのサイトから。

【作曲】ウォルフガング・アマデウスモーツァルト
【演出】ヤン・フィリップ・グローガーJan Philipp Gloger
【指揮】セミヨン・ビシュコフSemyon Bychkov’
【出演者】
フェルランド(テノール):ダニエル・ベーレ Daniel Behle 金髪の士官。
ドラベッラ(メゾソプラノ):アンジェラ・ブラウアーAngela Brower 大柄で色気のある女性。フェルランドの恋人。

グリエルモ(バス):アレッシオ・アルドゥーニAlessio Arduini 黒髪の男前士官。
フィオルディリージ(ソプラノ):コリーヌ・ウィンターズCorinne Winters 貞淑な娘。ドラベッラの妹(or 姉)でグリエルモの恋人。

ドン・アルフォンソ(バス):ヨハネス・マルティン・グレンツレJohannes Martin Kränzle 恋人たちの友人。哲学者。フェルランドとグリエルモに「賭け」の提案をする。

デスピーナ(ソプラノ):サビーナ・プエルトラスSabina Puértolas姉妹の女中。

セミヨン・ビシュコフが指揮する、愛の本質を描くモーツアルトの代表的オペラ。英国ロイヤル・オペラ初参加の演出家ヤン・フィリップ・グローガーによる新しい演出!

コジ・ファン・トゥッテ」(女はみんなそうしたもの)というあまりにも有名なモーツァルトのオペラの傑作が、新進気鋭のドイツ人演出家ヤン・フィリップ・グローガーによる新しい演出で蘇る。女の心は移ろいやすいと友人にそそのかされた2人の男たちは、恋人の誠実さを試すために、心変わりするか賭けをして互いの恋人の心を射止めようとする。2組のカップルの騒動をコミカルに描く。

この新演出版は劇場を舞台にし、4人の恋人たちは舞台上と舞台裏の境界線が次第にわからなくなっていく。国際的に評価されている若手の歌手たちをキャストに迎え、著名な指揮者であるセミヨン・ビシュコフが初めてオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」を指揮する。

このオペラのあらすじについてはWikiを参照あれ。

昨年ロンドンに行った折にロイヤル・オペラ・ハウスでバレエの「二羽の鳩」を見た。ロイヤル・オペラ・ハウスはかの有名なコベントガーデンにある劇場。映画『マイフェアレディ』でもわかるように、あの地域はハイブラウなところではない。今でこそ、かなりファッショナブルにはなっているけれど。とはいえ、劇場に一旦はいれば、そこは格式のあるオペラハウス。このシネマでもオペラハウスの内部が映し出されていて、「さすが!」って唸った。シネマの映像はずっと上からの俯瞰になっている。私は去年、ちょっと見栄を張って一階席で見たので、劇場がこういう風になっているのを初めて知った。ヨーロッパのオペラハウスなんですよね。馬鹿でかいMETとは違うんです。

こう書いてきて、モーレツにロンドンに飛んでゆきたくなった!

歌い手たちは、親しみやすい感じ。つまり大御所然としたところがない。一番良かったのはフィオルディリージ役のコリーヌ・ウィンターズ。素晴らしいソプラノ。恋人を裏切らなかったのだけど、それを「後悔」してみたりと、揺れ動く女心を歌い上げて秀逸。美しい歌声!その妹(姉?)ドラベッラ役のアンジェラ・ブラウアーは量感のある姿。しかも美しいし、色気もたっぷり。こちらも魅力的。メゾソプラノのソロが活きている。フィオルディリージに比べるとずっとcarefree。この姉妹のコントラストに説得力があった。モーツァルトがいかに女性心理を知り尽くしていたかが、よくわかる。それについては指揮者のビシュコフも言及していたっけ。モーツァルトの天才ぶりを示している。

この二人に比べるとその恋人役の男性歌手二人はいささかハンディがあるような。グリエルモ役のアレッシオ・アルドゥーニは良かったんだけど、劇評では彼ではなく、フェルランド役のダニエル・ベーレを褒めているのが多かった。複雑な心理を描くという点ではアルドゥーニが頭一つ抜きん出ているかも。何れにしても、トップクラスの歌手にありがちな押し付けがましさは二人には感じられなかった。女性歌手に花をもたせて、自分たちはLow profileに徹している感じ。そこに好感が持てた。

女性の歌い手として、女中のデスピーナを演じたサビーナ・プエルトラスは外せない。歌唱も演技も素敵だった。小悪魔的。ジュネの『女中たち』を思い出してしまった。

ドン・アルフォンソ役のヨハネス・マルティン・グレンツレもその落ち着きと歌唱力で抜きん出ていた。往年の名歌手?実力のほどが伺える演技だった。

幕間のインタビューの試みも面白かった。次は1月にバレエの『アナスタシア』を見る予定。これ、わくわく。実験的なバレエになっているよう。