yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ゲキxシネ 劇団☆新感線『五右衛門ロック』@尼崎MOVIX 10月21日

2008年の舞台。古い感じがしないのはさすが。舞台をほとんど見ていない者にとっては、このゲキxシネはありがたい。

以下、公式サイトからの情報

新感線流ROCK活劇!
2008年夏、圧倒的人気を誇る劇団☆新感線が、東京・大阪を熱狂の渦に巻き込んだ舞台、新感線☆RX『五右衛門ロック』。
新感線の公演の中でも特に音楽にこだわった、生バンドが舞台の上で演奏する“R”シリーズ。

圧倒的な迫力のロックに乗せ、歌あり踊りあり、笑いも涙もてんこ盛り、全てが迫力満点の人気舞台が《ゲキ×シネ》に─。
これまで以上にこだわった映像と音を追求し、圧倒的臨場感溢れる新たな魅力満載の『五右衛門ロック』が誕生した。

キャスト/製作者
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
作詞 森雪之丞
演者 古田新太 松雪泰子 森山未來 / 江口洋介 / 川平慈英 濱田マリ / 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと / 北大路欣也 他

ストーリー
釜茹上等! 盗んでGO! 浜の真砂の尽きるまで!

時は豊臣秀吉の世。稀代の大泥棒・石川五右衛門(古田新太)は役人・岩倉左門字(江口洋介)らの手でお縄となり、釜茹の刑に処される。
その葬儀を仕切る謎の美女、真砂のお竜(松雪泰子)。 実は、お竜たちの仕掛けにより、五右衛門は生き延びていた。

そこに現れる南蛮人ペドロ・モッカ(川平慈英)たち。彼らに乗せられた五右衛門一味は、南の果 てのタタラ島に眠る神秘の石《月生石》を求めて船出する。
しかし彼らを追う左門字もろとも猛烈な暴風雨が襲い、海に投げ出される。
南の島に流れ着いた彼らは、タタラ島国王クガイ(北大路欣也)の手下によって捕えられる。

絶体絶命のピンチの場に、クガイを憎むバラバ国のカルマ王子(森山未來)、ボノー将軍と妻・シュザク夫人(濱田マリ )が攻め込んできて……。
《月生石》の持つ力とは? クガイとは一体何者なのか? 果たして、五右衛門の運命やいかに!

2011年に『髑髏城の七人』を梅芸で見ている。その時は、「いのうえ歌舞伎」という触れ込みにかなり抵抗があった。歌舞伎とはなんの関係もない舞台だったから。また、役者も小栗旬、森山未來、早乙女太一といっった、歌舞伎役者ではない、いわゆるタレント。エロキューションは悪いし、殺陣は下手。それらのマイナス点を、やたらやかましい、しかも押し付けがましい音楽でカバーしようとしている風にしか見えず、鼻白んでしまった。古田新太は出ていなかった。でも高田聖子のうまさには唸った。また、やたらと駆け回るのが目障りだった。

中島/いのうえのコンビが製作した『阿弖流為』を見て、かなり見方が変わった。こちらは歌舞伎役者が総出。とりわけ染五郎、勘九郎、七之助という芸達者な歌舞伎役者に支えられ、成功した舞台になっていた。この時もやたら駆け回るし、音楽はうるさいしだったのだけど、それが生きていた。役者が揃えば、この過激な舞台がまるで生き物のように立ち上がってくるのに、驚いた。

この『五右衛門ロック』はやっぱり新しい演劇の形を提出したという意味で、外せない舞台だろう。だから以前から見たいと思ってきた。『髑髏城の七人』を見た後の感慨と同じものを今回も感じた。いわゆるタレントたちが多く出ていて、カオス(混沌)は混沌でなかなか収拾がつかない状態。何しろ個々の人物が「主役」を主張する(させる)演出。それが狙いなんだろうけど、度がすぎると、鬱陶しい。『髑髏城の七人』ではそれが終始鬱陶しいままだった。

そこに、古田をはじめとする北大路欣也、川平慈英、高田聖子といった芸達者が出張るることで、ざわざわ感が減じ、全体が引き締まっていた。テーマは結構ポリティカルで、それは『阿弖流為』とも共通している。「漁夫の利」を狙うイスパニア人の商人に、ただ利用されただけの秀吉とその抵抗者。そのイスパニア商人を最後にギャフンと言わせる役を担う、天下の大泥棒、石川五右衛門。これはまさに現代の政治状況ともかぶる。このテーマを押し付けがましくなく、あざとくない程度に描くというのが全体の狙いなら、あのガチャガチャ感はそのためにあるのかも。

今後、月一回は上演されるゲキxシネを見てゆこうと考えている。それにしても最近見た新感線亜流の3D-DELUXより、ずっと「本家」の方が面白い。