yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

尾上菊五郎主演『半七捕物帳』BSジャパン

たまたまテレビをつけたらこの番組だった。思わず見入ってしまった。朝の9時前に始まるので、居る時しか見られないが、何本か見た。「大衆文学作品の最高峰とも謳われる作品、岡本綺堂原作の『半七捕物帳』。半七役は、梨園の名家である七代目尾上菊五郎が演じる」との概説が。サイトをリンクしておく

菊五郎がなんとかっこいいことか。歳をとってからの菊五郎しかしらなかったので、驚いた。容貌の端正さ、美しさはもちろんのこと、それ以上に佇まいの端正さ。端正さの中に人柄の温かさが滲み出て(いるように演じて)いる。細かな感情表現にしびれる。歌舞伎役者でこれほど大写しに耐える人はいないだろう。1979年のシリーズなので彼は37歳。ちょうど今の菊之助の歳頃。菊之助も美形だけど、当時の菊五郎の方が美しいように思う。

以下がこのシリーズのタイトル一覧。

話 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト
第1話 異人の首
第2話 刀傷 吉良の脇差
第3話 矢がすりの女
第4話 大坂屋花鳥
第5話 人情廻り燈篭
第6話 河豚太鼓
第7話 唐人飴
第8話 怪談津の国屋
第9話 蟹のお角
第10話 張子の虎
第11話 お化け半鐘
第12話 帯取の池
第13話 チャルゴロを聴く女
第14話 小女郎狐
第15話 かむろ蛇
第16話 二人女房
第17話 化け銀杏
第18話 金の蝋燭
第19話 湯屋の二階
第20話 槍突き無情
第21話 怪談おいてけ堀の女 下飯坂菊馬
第22話 お照の父
第23話 むらさき鯉
第24話 闇からの声
第25話 十五夜御用心
第26話 歩兵の髪切り

ね、そそられるタイトル群ですよね。異郷趣味というか、異郷への憧れというか、それを感じさせるのが多いのも興味深い。また、歌舞伎役者が結構出演しているのにも驚かされる。それは「鬼平」にも言えるけど。

今日見たのは第20話、「槍突き無情」。犯罪を犯すのは長谷川明男演じる秩父の猟師、作太郎。上の一覧にも明らかなように、このシリーズは脇の役者にも恵まれている。それも吉右衛門の「鬼平」シリーズと同じ。半七の恋人に名取裕子。その父を松本幸四郎。そして、半七配下に下川辰平森川正太が。加えてなんと、坂東八十助(のちの三津五郎)が!上の写真の三人で写っている右端の人物が八十助。このころの彼は23歳。こちらもご子息の巳之助と同年輩。こう見ると、とても似ている。歌舞伎役者が当時のテレビ時代劇の常連だったのかもしれない。だから質が極めて高い。おきぬという娘をマキノ佐代子が。一瞬、大竹しのぶかと思った。マキノ雅弘監督の娘さんだとか。当時19歳、可愛い。

テレビ時代劇の質が高いことに驚いている。猿之助が時代劇がなくなってきているのを嘆いていたけれど、この質の高いジャンルをなんとか残して欲しい。というのも「大衆文学」に当たるものを今のメディアで探すとなると、ない。代わるものがあるとすればバラエティ?これではあまりにも「下」へ迎合しすぎ。質が低い。対してこの「テレビ版時代劇」にははエンターテインメントのエッセンスが詰め込まれている。。芝居の展開が見事。落とし所がきちんとある。それも変に情がらみのものではなく、現代人の観賞に耐えるようなもの。演技の質の高さからいうと歌舞伎役者に演じてもらいたいのだけど、今は無理だろう。となると大衆演劇の舞台で見るしかない。問題は大衆演劇の劇団でそこまでの質の高い舞台を演出できるかどうか。それができるのはほんの一握りのみだろうから、かなり厳しいかも。