yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『雪の喧嘩笠』劇団HIRYU@御所羅い舞座12月12日昼の部

この芝居は以前に何度か観ている。今年7月に梅田呉服座で観たときの記事が以下。

甲府のさる一家の二代目を継ぐことになった友太郎(大輔)。親分(三之介)の娘(明日香)と祝言が決まっている。浮かれモードになっている彼のところに、故郷にのこしてきた弟の佐吉(小寅丸)、そして元妻のお峰(あさり)が訪ねてくる。「男修行をしてくる」と言って旅だってからずっと音信不通だった友吉。その友吉をようやく探し当てたのだ。彼はもとは「浅間の嶋太郎」だったことが、これでばれてしまう。

親分は許す筈もなく、二人を追い出す。情にほだされそうになる友太郎をどやしつけ、二人に追っ手まで差し向ける。友太郎も泣く泣くそれを見過ごす。

道中、追っ手に囲まれた佐吉とお峰。追っ手に殺されそうになったところを止めたのが大前田英五郎の息子、英次郎(春之介)だった。追っ手を追い払った英次郎、二人からその経緯を聞き、怒る。そのとき、ちょうど通りかかったのが清水の次郎長(番長)と大政(順一)。手伝ってやろうという次郎長の申し出を断って、二人を連れて友太郎のところに掛け合いに行くという。

友太郎のところにやってきた英次郎。逆に親分に飛び道具で脅され、三人とも縄で括られる。このとき春之介さん、上半身裸でお縄になります。痛々しい感じ。

もちろん!そこにやってきたのが次郎長と大政。ここからが最大の見せ場。友太郎の子分がそれぞれ二人に名前を聞くのだが、間違えて友太郎に伝える。一種の伝達ゲームのオカシサ。トンチンカンに伝えるので、らちがあかない。その上、次郎長が(例によって)めちゃくちゃカッコウを付けるので、おかしさが五割増し。向こうで小寅丸さんとあさりさんが「手持ち無沙汰」状態で放置されていたのも、お気の毒やらおかしいやら。

次郎長は大前田英五郎に息子の状態を伝えに行くと脅す。大前田英五郎なら何百と人を集められると聞いて、ビビった友太郎。三人の縄と解く。英次郎の縄を解くのは次郎長。裸の身体を触りまくる。逃げるに逃げれない春之介さん。こちらも気の毒やらおかしいやら。

英次郎、去り際に友太郎から百両せしめる。このとき、次郎長から、「笑いながら、歌い踊りながら渡せ」と「命令」された大輔さん。ステキな(?!)ダンスをし、歌いながら春之介さんの手に百両を。番長も思わず吹いていました。英次郎はせしめた百両をお峰に渡す。このあと、春之介さん、めずらしく台詞を「忘れた!」と。

台詞を思いだした春之介英次郎と佐吉、お峰は去って行く。もちろん次郎長と大政も。腹の虫が納まらない友太郎。子分共々三人を追う。このときの大輔さん、ケッサクでした。「なんでこんな役なんだよ!あんな風に(春之介さんのように)カッコよく入りたーい、台詞忘れても」。ごもっとも。

森の中で三人に追いついた友太郎一味。斬り掛かるがあっけなくやられる。あわや友太郎が英次郎に殺されそうになったとき、お峰が飛び出し、もとの夫を庇う。そこへ次郎長と大政も。英次郎はお峰の気持ちに打たれて、ドスを納める。次郎長もそれを支持する。英次郎はお峰の手と友太郎の手をつなぎ、去って行く。

このときと細部で違っているところがあった。まず、配役。大政(順一)がお蝶(美佳)に。それと一番のクライマックス部の大輔さんの「歌付きダンス」の部分。ここで、大輔さんだけでなく、子分たち(大和・明日香)、小寅丸さんまでが、何故か参加することに。「いちばん上手かった者にはボーナスをやる」といわれてはりきる大和さん。だのに、結局ボーナスは前売り券数枚。それは小寅丸さんに行くことに。

以前観た折に気づかなかったこと。それはあさりさんの上手さ。しんみりと健気な女房役が板に付いていた。基本的には私はこういう「耐える型の女」は好きではないのだけど、彼女が演じると、「耐える」ばかりではない、気丈さ、女の矜持というものが演技を超えて醸し出されている。そこが好き。

大衆演劇や歌舞伎、文楽といった古典芸能によくある「耐える女」は今の時代には受けない。だからそこをどう解釈して演じるかは各女優さんに任されている。昔風の耐える部分と現代風の矜持とのバランスをどうとるのか、それが(カッコ良さを売る)男の役よりも難しいところ。どちらかが過剰になると、しみじみとした情感が出ない。しかも相手の男役者とのキャッチボールで演じなくてはならない。今まで50余り観てきた大衆演劇の劇団女優さんたちで、膝を叩いて「すてき!」と唸った女優さんは、そう多くはない。あさりさんはそのお一人。他には都若丸劇団の都ゆかりさん、浪花劇団の浪花めだかさん、劇団美山の中村美嘉さん、そして春陽座の澤村かなさん。

歌舞伎では女形にスポットライトが当たるのに対し、大衆演劇では男の役者にスポットライトが当りがち。そこが残念なところ。でも、上手い女優さんがいてはじめて舞台は成り立つ。女優さんを活かせる、そういう劇団がすぐれた劇団。

<舞踊ショー>
曲名に誤りあれば、ご容赦。

第一部
群舞  「津軽おなごぶし」

小寅丸  「Catch Me」
光るスケボーで登場。お父さまのより、若干大人しめ?

大輔  「面影の都」

春之介   「想い酒」?


大和 ・大輔・小寅丸・春之介 

 
いなせでカッコ良い座長、春之介!  

第三部
群舞   

春之介  「夜桜哀歌」


大和  「好きだったぜ」

春之介   「男マグロ一本釣り」
どうです、この気の入りかた!

小寅丸   「僕の信じる道」



あさり・大和  「つんつん津軽

あすか  「夏恋囃子」 

春之介 「千年の篝火」

大輔  「大切なあなた」

あさり  「イマージュ」 

春之介  「大阪ジュエル」

小寅丸  「越後獅子の唄」
入魂の舞!すばらしい扇遣い。いつまでも観ていたい。

群舞  「バブル」
すばらしい新作舞踊だった。

あと一週間。来週の今日、つまり日曜日が千秋楽。気が満々と充実した舞台を魅せてくれる「劇団HIRYU」。失望することはないと保証できます。

来週の火曜日、15日は「小寅丸祭り」。彼がすべて構成・演出されるはず。ずっと記憶される舞台になるに違いありません。