yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『元禄仇討絵巻』(新作狂言)劇団HIRYU@御所羅い舞座12月1日初日昼の部

この12月公演、新作狂言、新作舞踊ショーが目白押し。7日までのスケジュールが以下。ご覧の通り、今日、3日、5日、6日が新作狂言。このチャレンジ精神と意欲がすばらしい。

『元禄仇討絵巻』も大衆演劇の王道を行くお芝居だった。構成がしっかりしているので、いくらおちゃらけっぽくなっても基本線が揺るがない。だから、見終わったあとに満足感がある。ずしんとお腹にこたえる手応えがある。それを可能にしているのは、一にも二にも座員さんひとりひとりが基本を遵守しているから。それができるだけの、つまり多少崩しても基本をしっかり抑えるだけの実力が座員さんにあるから。やっぱり春之介さん、小寅丸さんの実力はスゴイ。ここまでの人たちは他劇団にはそうは見当たらない。

そしてなによりもこのユーモアのセンス。飛龍さん的キャラではなく、ちがったキャラ。でもものすごく魅力的。チャーミング。とにかくチャーミング(しつこい?)。

春之介さんが座長、小寅丸さんが副座長ということだけど、大輔さん、大和さん、全員が飛龍さんから「自由」なこと。これ、とてもcrucial。歌舞伎もその方向に動き出しているように感じる。こういうトレンドというかウェイブに出くわすと、無性にうれしくなる。「ようやく春がきた!」なんて。その場に立ち会える幸せを噛みしめる。

お芝居『元禄仇討絵巻』
べたなくらい大衆演劇っぽいお芝居。大体のあらましは以下。

有馬源内(小寅丸)は置屋まつ乃の芸者、喜美香(あさり)にぞっこん。彼女をたびたび座敷に呼ぶが、喜美香はけんもほろろ。女将(美佳)も有馬の強硬姿勢に困り果てている。喜美香は女将の息子の直介(大和)と相思相愛の仲だったから。

実は喜美香はさる武家の娘。無実の罪で詰腹を切らされた父の仇を探すため、芸者になっていたのだった。父の死後、お家は取り潰し。兄の幸村は行く方知れず。

有馬源内が喜美香を探しに、配下の者を引き連れてまつ乃にやって来た。ここからが完璧に喜劇。飛龍さんの十八番。と、思っていたら(案の定)ご本人登場。それも源内の配下の一人(バカボンのパパ?メイクで)として。ご丁寧に三之介さんもその一人。予想通り、飛龍、三之介二人の小寅丸イジリが始まります。「仇討ち」狂言がコメディへと「変貌」する案配。

ここに旅芝居の定石、「悪い殿様が実は探していた仇だった」という伏線が絡む。有馬源内こそが喜美香の父の仇だったというわけ。それが判るのは喜美香の父、大久保次郎左衛門に仕えていた奴、甚助(大輔)が喜美香に届けに来た手紙から。

まつ乃では、源内が喜美香に迫る、迫る。喜美香はなんとか逃れようとする。「なぜ私を避けるのだ」と、一層迫る源内。後ろに控える配下の飛龍、三之介のお二人、小寅丸さんが何かいうたび、合いの手を入れます。ここ笑えます。そこへ登場したのが姐さん芸者の鶴羽(春之介)。源内の喜美香への関心を自分へと向けさせる。あっさりとその手に嵌る阿呆で助平な源内。「おまえを抱いて寝たい」なんて言ってます。後ろの飛龍、三之介連合軍が「さすが慣れてますナー」とか言ってイジリの手を緩めません。ちょっと困ったフウの小寅丸氏。可愛いかった。

鶴羽に誑かされ、騙されているのも知らず、二人っきりになれる場所にやってきた源内。「私には友は一人もいないが、敵は五万といる」なんて殊勝な振りをしつつ、喜美香の同情を買おうとする。彼の配下の者たちは、「若様の安全のため」とかなんとか言って、その場を去らない。ここからが飛龍劇団の真骨頂。爆笑喜劇。配下の者たちを全員後ろ向きにさせ、ひたすら鶴羽に迫る源内ならぬ小寅丸さん。「儂は熱いのじゃ」と、鶴羽の胸に手を入れる。その度に配下の飛龍さんから、「現在、若は鶴羽の胸を揉んでおります」ってなアナウンスが入る。会場大爆笑。鶴羽は喘いでいるふり。源内は「胸がない!」と叫ぶ。これが何度もくり返され、とうとう源内は鶴羽が男であることに気づく。

一挙に男に戻った鶴羽、実は幸村だった。このあたり、まさに「弁天小僧」。大衆演劇には「弁天小僧」を「利用」した演目がいくつかあるけど、これもそれに連なる?立ち回りの最中に、幸村の妹、喜美香、その婚約者の直介、それに奴の甚助も駆けつける。ここからが立ち回り。もちろん幸村が源内、及びその配下をすべて成敗、仇討ちを成し遂げる。

<舞踊ショー>
曲名等、誤りがあればご容赦。

第一部
群舞   「日本わっしょい」

大輔  立ち 「九ちゃん音頭」

小寅丸  立ち 「サクセス」

春之介  立ち 「勝負」

群舞   「?」 
傘踊りで、壮観でした。

第三部
大輔さん中心に群舞  「Let It Be」

春之介 女形 「恋の駆け引き」
藤色の美しい着物で。

大和 立ち  「?」
サーモンピンクの着物とピアスが色っぽい。

小寅丸  立ち  「?」
オレンジ色の着物で。扇子さばきが秀逸だった。

春之介 女形  「天の川情話」

大輔   女形  「花はただ咲く」

あさり  「むらさき雨情」

大和 ・真央  「望郷魂」?

あすか  「じょんがら別れ歌」

小寅丸 女形 「朧月夜」
なんと、美嘉ちゃん!黄色に豪華な模様の入った着物で。艶やかでした。

春之介 立ち 「銀座のトンビ」
真っ白な着物に黒の帯で。この曲の浮かれ方を上手く出されていた。

三之介   「提灯」

春之介 立ち  「花結び」
ちょっと変わった鬘に、模様のいっぱい入った着物で。

ラスト  「ソーラン祭」

というわけで、飛龍さんが「総長」(なんでも暴走族の総長になるのが夢だったとか)として出まくり。

座長の春之介さん、副の小寅丸さん、素晴らしい熱演でした。もちろん他の座員さんたちも思いが一つになっている感がひしひしと伝わって来ました。もともと映画館だったので、座席はゆったりしていて、とても楽。近鉄の忍海駅から歩いて7分ほど。この辺りはちょっと淋しいけど、劇場の中は熱い。