yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『二羽の鳩』The Two Pigeons (英国ロイヤルバレエThe Royal Ballet) @ Royal Opera House, 11月24日

これはすばらしかった。すぐに感想を書くつもりが、遅くなってしまった。さきほどからロイヤルバレエのサイトに入って、その日のプロダクションをコピペしようとしたら、どこにもない。毎回踊り手が替わっているのだ。あらためて英国ロイヤルバレエのダンサーの層の厚さに驚かされた。何年か前に来日公演を観てがっかりしたけど、あれはたまたまだったのだと判った。主演者の差し替えが当日突如発表され、ホントに腹が立った。

そのときの演目は『不思議の国のアリス』。主演のダンサーが韓国系で、アリスのイメージとのあまりの差がショックだった。今回の『二羽の鳩』、サイトで確認したところ、なんと日本人ダンサーが主演している日もあった。私が観た24日も準主演で日本人のダンサー(男性)が出ていた。また、日本人(女性)のダンサーも出ていた。日本人だと、「アリス」のときほどの違和感がないのが不思議。欲目があるのかもしれないけど、容貌、スタイルともに、この前衛的なバレエ作品にぴたりと納まっていた!エリック・サティのこの作品。いろいろな解釈を赦す、そして色んな可能性を試せるそういう作品だからかもしれない。その点で決定的に「アリス」とは違っている。

以下が24日のプロダクション。

The Young Girl    Lauren Cuthbertson
The Young Man   Vadim Muntagirov
A Neighbour     Elizabeth McGorian
A Gypsy Girl     Laura Morera
Her Lover       Ryoichi Hirano
A Gypsy Boy     Marcelino Sambe

もっとも良かったのはジプシーの女を踊ったLaura Morera。表現力が豊か。コケティッシュでセンシュアル。若い画家が一瞬にして惚れ込んでしまうのも宜なるかなと思わせる色気とエキゾティシズム。美しい、そして清らかな、いうならば乙女チックな「若い女」にはない暗さと屈折を描いてみごと。

若い画家を踊ったVadim Muntagirovも良かった。名前からしてロシア系?ロシアのダンサーの優秀さはこれからもよく分かる。身体的に恵まれているのもあるけど、それ以上に芸術性が高い。ここまで踊り込めるのはやっぱりロシアのあの清濁が曖昧な、そしてどこか陰鬱な空間と時間を背負っているからなんじゃないかと、思わせられる。きちんと割り切れない、そんな役を演じるのにぴったり。

それにしてもこの人といい、ジプシー女を踊ったモレラにせよ、踊りだけでここまでの内面が表現できるんですね。それだけで感動してしまった。表現力の点で、口惜しいけど違う文化圏出身の東洋人のダンサーは、どうしてもハンディがついてしまうのでは?それでも、あえて違う文化圏の人間をも起用する。そこに、ロイヤルバレエの実力のほどだけではなく、懐の深さをあらためて認識させられた。