yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『はぐれ者』桐龍座恋川純劇団@新開地劇場8月7日夜の部

<芝居>
初めて観るお芝居。掏摸(純)と博打打ち(風馬)のやくざな兄弟分の、一人の女性をめぐる葛藤が描かれている。以下がざっくりとしたあらすじ。

兄貴分の掏摸は許嫁(かれん)の母親の薬代のため掏摸をし、お縄になる。役人(心哉)にしょっぴかれるときに、弟分に許嫁とその母親の面倒をみるように頼む。彼は三宅島遠島の罰に服す。許嫁は彼に自分の簪を渡し、ずっと待っていると約束する。

三年経過。弟分の方は兄貴の許嫁だったお光と所帯を持ち、子供まで出来ている。堅気になったものの職のない彼は、赤ん坊のミルク代にも事欠いている。挙げ句の果てに土地の親分の賭場でイカサマに手を出し、簀巻きにされ川に投げ込まれる。

彼を助けたのは三年の刑を終え、帰ってきた兄貴分だった。弟分の方は事実を告げることが出来ないままに、彼を自分の家に連れて来る。真実を知る兄貴分。怒りで二人を殺そうとする。そこにやって来たのが子分を連れた土地の親分。この男はかねてから弟分の女房になったお光に目をつけていたのだった。今回も危機を救ってくれたのは兄貴分だった。彼は親分とその子分たちを斬り殺す。

兄貴分と弟分夫婦の別れの場面。兄貴分は以前にお光からもらっていた簪を彼女に返す。親子仲良く暮らすように言い置き、旅に出て行く。

構成が今いち説得力がなかった。特にお光の描き方。かれんさん、もう少し彼女の「葛藤」を説得力ある形で出して欲しかった。純さんは力演。とくに最後の簪のシーンはすばらしかった。風馬さんも以前より飛躍的に演技派になっておられた。ちょっとした感動。心哉さんの役人、出番があまりなかったのに、存在感があった。初代純さんも悪い親分で出演。やっぱり上手かった。

芝居としての「熟成度」が足らなかったのが不満の原因。場数を踏んでいないのだと思う。それとこの暑さで、体調のすぐれない座員さんがいたからかもしれない。パンチが効いていないように思った。喜劇的な要素、コミックリリーフに当たる要素がまったくなかったのも、その原因の一つだろう。悲劇というには(感情移入するには)「軽すぎた」上に、オカシミがまったくないのでは、観る側は疲れる。彼の口上から察するに、純座長もそのあたりのことを承知なんだろう。ここまで男性陣が上手くなってきているのだから、もう少し羽目を外す方向も入れた方がいいのでは。