yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『名物住吉団子』桐龍座恋川劇団(二代目恋川純座長)@京橋羅い舞座5月3日夜の部

この日はシアターBRAVAでWASABEATSのショウを観て、京橋駅まで歩いた。20分弱だった。先月京橋羅い舞座に近江飛龍劇団を観に行った際、KiKi 京橋劇場のすぐ前の自然食レストラン「実身美」さんに魅せられ、何回か食事をした。ランチがまだだったので、ここで食事をするつもりだった。

なんと、JR京橋駅でばったりと元同僚の方と出くわした。この方は去年何回か大衆演劇にお誘いしたのだけど、最初にお連れしたのが去年8月の新開地劇場での恋川純さんの公演だった。新開地劇場は彼女のご自宅からそう遠くはないので、その後も行っておられたよう。彼女は恋川純さんを高く評価され、その後も通われたようで、この日も京橋羅い舞座での純さんの公演を観ての帰りだった。「勘が鋭い」と自認されているだけあって、それとヘンな先入観もおもちではないので、彼女の評価、正鵠を射たものであることが多い。新開地劇場にかかった諸劇団の辛口評を伺った。あまりにもきっぱりと「断言」されるので「えっ?!」と思わなくもないんですけど(私も人のことは言えませんね)。劇団H については「ふざけるのも大概にして欲しい。客をばかにしすぎでしょ」と厳しくこき下ろし。賛成!もう一つの九州系の劇団Hについては「活気がない」。今かかっている劇団については「まるで昭和のテイスト。古くさい」。先月の劇団については、「のぼせ上がっている」。なるほど。オカシカッタ。

彼女が今観てきたばかりだという恋川純さんを賞賛することしきりなので、「実身美」で遅いランチをした後、観に行く気になった。ところがなんと「実身美」はお休み。日曜日がお休みなのをすっかり忘れていた。仕方ないので「そじ坊」でお蕎麦を食べ、いざ臨戦態勢に。

彼女の評価通りだった。恋川純さん、去年8月に観たよりも、ずっとずっと成長されていた。なんというか座長の貫禄が身につき、大器になっておられた。うれしかった。女性座員が一人辞めてしまっていたのは残念だったけど、その分彼が今まで以上にがんばっておられた。以前は「健気」と思ったのだけど、この日の純さんはそういうこちらのセンチメントを打ち消してしまうほど、「大物」の落ち着きを身に纏い、しかも自信に満ちておられた。感激!

『名物住吉団子』は他劇団でも観たことがある。テーマは嫁いびりをしていた姑の改心。普遍的な(?)テーマなので、アレンジの仕方によって、さまざまな変奏曲が。恋川バージョンはここだけのものだったけど、似ていると言えば新川劇団のもの。ご親戚なので当然?

純さんの「一人舞台」の様相。よくもここまで頭が回転するものかと感心した。それにこの立て板に水の口説。wittyなアドリブがそれに挟まるので、オカシサも何倍か。それよりもなによりも、表情を始めとする身体表現が「饒舌」ですばらしい。一瞬たりとも気を抜いていなかった。コメディですよ。緩めるとことが必ずあるはずだけど、その緩めるのも計算の上でのもの。彼がここまで緻密な役者さんんだと初めて理解した。しかもあざとくないんですよね。それは天性のものかもしれない。「どうだ、おれは上手いだろう?」という押し付けがましさも一切なし。アッパレ!

お兄様の純弥さんが抜けられた後、二十歳になったばかりで劇団を背負ってこられたこの3年間。なにごとにも一生懸命。誠実で清潔な人柄。すべてがここに花開いているんだと、納得した。

純さんの女形芝居がすごいのは、体験済み。タイトルは忘れたんだけど、火事に焼け出され夫とはぐれてしまい、救ってくれた下宿人の若い男と一緒になった女性の話。その後夫と再会し、今の夫と元の夫との間で苦悩する女性。この役を演じた純さん、すばらしかった。それとこれは松竹新喜劇のもので夫を毒殺する女房の役。人情(喜)劇に描かれた女を演じる場合、たいていは素直にそのまま演じるところだろうけど、彼はそこに陰影を含ませる。喜びと苦悩、熱愛と裏切りこの二つの相反する感情の間で生まれる陰影である。人物に奥行きが生まれる。だから観客もそこに感情移入しやすい。こういう難しい役を若干17歳くらいから演じていたんですからね。天性の勘の良さにいやおうなく場数を踏まされたこと、それともちまえの真摯さと謙虚さが功を奏したのだろう。

すばらしい役者になられたんだと、うれしかった。

お母様の真子さんが最初の場面で登場。ここでの楽屋落ちがおかしかった。お姉様の桃子さんが、純さん演じる茶店のおばあさんと同年齢のおばあさん役で登場。(その歳で)結婚したという報告に来たのだけど、そのときの純さんの憎まれ口と「ふん!」という表情のつけかた、爆笑ものだった。この場面、他劇団ではなかったもの。これによって、主人公の孤独が浮かび上がる。深刻というより、オカシイんですけどね。

主人公の娘が嫁いだ先の年配女性を純加さんが演じたのだけど、相変わらず手堅い演技でよかった。もちろんお嫁さん役のかれんさんもとても良かった。みていると古巣に帰ったようで、ほっとした。

最後は主人公が改心してめでたし、めでたしで終わるんだけど、舞台が終始ほんわかしていたのは、やっぱり恋川。

「大衆演劇は感動の雨アラレ」さんのブログにこの日の夜の部の写真がアップされているので、リンクさせて頂く。ありがとうございます。純さん、口上ではおばあさんの扮装のまま。純さんの「所信表明」が聞けたのは収穫。しかもそれが以前よりもはるかに進化(深化)したものであることに、感動。

舞踊ショーでもほとんど出ずっぱり。これは純弥さんもそうだった。純さんには純弥さんのときの彼のようなサポートがない。でも心哉さんがしっかりとその分彼を支えておられた。もちろん、風馬さんも。座員さんのこころがひとつになって、純座長を応援し、支えているのがよく分かった。これにも感動。

今月は恋川純さんのお芝居と舞踊を観に行くことになりそう。