yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「京(みやこ)を描く−洛中洛外図の時代−」@京都文化博物館

3月15日、「四代目中村鴈治郎襲名興行」を京都南座に観に行ったのだが、公演が4時始まりだったので、その前にこの展示を見に出かけた。土曜日だったこともあったのだろう、ものすごい人出。各屏風前には二重に人垣が。結局じっくりみるのはあきらめて、図録のみを買って引き揚げた。ここまでそろった展示を見ることは近いうちにはないだろうと推測できたので、どうしても再訪したかった。今月8日にようやく時間がとれたので、喜び勇んで出かけた。ところが予想外の人。この日は前とちがい、研究者と思しき30代前後の人が多かった。みなさんオペラグラス片手に熱心にのぞきこみ、各屏風の前からなかなか動かない。「意地でもじっくりと見る」と決めていたので、私もがんばった。気がついたら、3時間を超えて屏風と格闘していた。

以下が特別展のサイトからの引用。

<開催趣旨>
首都京都の全景を一双の屏風に描く洛中洛外図屏風は、16世紀初頭に登場します。現実の都市社会を題材に、権力者の政治体制から京都町衆の生活の一齣(こま)までを生き生きと描き、応仁・文明の乱から復興し、新たな近世都市へ向かう京都の姿を活写しました。その後、この洛中洛外図は江戸時代を通じて制作され続け、都市の変化に応じて、多様な要素を盛り込みながら展開していきました。

本展では、国立歴史民俗博物館の国内有数の洛中洛外図屏風コレクションを中心としながら、醸成される京都文化と都市のありようを絵画、文献、考古資料など、多様な資料を用いて紹介致します。

展覧会構成:
第1章 中世の京都像
第2章 洛中洛外図屏風の出現
第3章 変貌する京と洛中洛外図
第4章 京の平和と営み
第5章 京の真景
終 章 近代京都と新たな名所

主な出品作品 出品目録PDF

重要文化財 洛中洛外図屏風 歴博甲本(国立歴史民俗博物館蔵)
重要文化財 洛中洛外図屏風 歴博乙本(国立歴史民俗博物館蔵)
重要文化財 洛中洛外図屏風 舟木本(東京国立博物館蔵)
・狩野元信筆 月次風俗図扇面流屏風(光円寺蔵)
狩野永徳筆 洛外名所遊楽図屏風(個人蔵)
・岩佐派 誓願寺門前図屏風(京都文化博物館蔵)
他60点程度

<概要>
京都の地理や景観、そしてそこで営まれる人々の生活は、平安時代から絵画として描かれてきました。その蓄積の上に作り出されたのが、京都の全景を一双の屏風に描いた洛中洛外図屏風です。十六世紀初頭の戦国時代に現れたこの洛中洛外図屏風は、現実の都市である京都を題材として、時の権力者の事績や、今と変わらぬ名所の数々そして町衆の生活のあり様などを細かに描き、美術品としても、歴史資料としても、見る者に尽きぬ興味と喜びを与えてくれます。

洛中洛外図屏風は江戸時代に入ってからも制作され続け、都市の変化に応じて展開していきます。これだけ長い間、詳細な景観が描き続けられた都市は世界にも類がなく、この意味で、洛中洛外図はまさに比類なき都市の肖像なのです。
本展では、現存最古の洛中洛外図である歴博甲本をはじめ、室町時代から明治時代におよぶ「京都の肖像」をご紹介します。作品を通して、それぞれの時代の京都に思いを馳せ、時間旅行をお楽しみいただけたら幸いです。

最も圧巻で貴重な資料はもちろん国立歴史民俗博物館所蔵の洛中洛外図屏風,
甲本と乙本。あとのものはこの屏風の焼き直しか部分拡大したもの。それでも十分に素晴らしいけど、この原本の素晴らしさには及ばない。私がどうしても見たかったのは、四条河原や北野天満宮境内に展開していた芝居小屋とそこに集う人々を活写した絵図。守屋毅さんの『京の芸能』(中公新書)を読んで以来、実際にこの目で確かめたかった。それがこんなにはやく実現するとは、やっぱり念じてみるものですね。原本ではなく、コピーでも十分にその価値はあった。歴史的資料としてはこれ以上ないほど貴重なもの。文章で書き遺したものもそれなりに貴重だろう。でもそれ以上に過去のその時、その場にいた人たちの息遣いまで聞こえるような絵(今ならさしずめ画像がそれにあたるのだろう)を目の当たりにすると、もうことばがない。昔の絵師の偉大さに感嘆の念がわきあがる。鎌倉、室町、江戸時代なんて、教科書の中に埋もれ、今という時とは何の関係もないようだったのが、一気にその時代の雰囲気の中に連れてゆかれ、同じ時間を共有しているような錯覚に陥る。絵図中の市井の人たち、ふつうの人たちのなんとイキイキとしていることか!なんとうれしげに「芝居」を見ていることか。私たちとまったく一緒のその風情。過去と現在が一体化する瞬間である。

もう一度じっくりと見に行きたかったのだけど、結局あきらめざるを得ない。次回を期したい。