yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

地球ドラマチック「エトワールをめざして〜オペラ座バレエ学校の子どもたち」NHK eテレ 12月31日再放送

NHKが捨て難いのはこういう番組を放映するところ。この再放送の「裏番組」には例の国民的行事の歌番組が来ている。この痴呆的な番組の、十代と思しき出場歌手たちの歌と踊りの下手さ、安直さと、オペラ座付属学校の子供たちの厳しい訓練に取り組む真摯さとが際立った対照を成していた。まあ、そう目くじらを立てることもないのかもしれない。いずれにしてもこの裏番組の出場者たちのほとんどが泡沫として数年のうちには消える運命にあるのだから。彼らはアーティストとはとうてい呼べない。観ると怒り心頭なので、アメリカに行く前から観ていない。

パリ・オペラ座バレエ団、来日公演での『天井桟敷の人々』を2013年6月に東京文化会館で観ている。すばらしかった!ことばがなかった。世界一といわれるだけのことはあると納得した。その前にロシアのミハイロフスキー・バレエ団、マリインスキー・バレエ団、そしてウィーン国立歌劇場バレエ団の来日公演にカルチャーショックを受けたところだったのだけど、やはりパリ・オペラ座は抜きん出ていた。

このeテレ番組は2012年に放映されたものの再放送である。こんな番組を「輸入」にせよ、NHKが獲得していたんですね。まともな審美眼をもつ人が、かの放送局にもいるということか。局をあげて「韓流」ドラマに入れあげているとばかり思っていたんですけど。

全世界から厳しい競争を経てオペラ座付属学校に入学した子供たち。まだ6、7歳の子供もいる。その子たちが15歳から17歳の最高学年になり、そしてオペラ座の入団テストを受ける。外の世界から遮断されて過ごす10年近くの付属学校での生活。その中で成長してゆくさまをドキュメンタリーにしているのだけど、その禁欲ぶりに泣ける。同志としての強い絆とそれを打ち壊さなくてなならない厳しい競争と。こういう試練を経て、最後に入団を許されたのは十三人の最高学年生徒中ではたったの二人!入団テストでは技術的なこともさることながら、舞台に立ったときに、「どこまでアーティストとして輝けるか」をみるのだという。オーラを放っていなくてはならないのだという。そんなのフェアじゃないと思うかもしれない。でもそれを生き抜く度胸と才能とそして芸術的に群を抜くオーラが要求されるのだ。私が観た『天井桟敷の人々』のダンサーたちがこの世のひとではないような、そんな芸術的レベルだったのも頷ける。「あァー!」というため息ばかり。

以下NHKの紹介をアップしておく。

前編
300年の伝統があるパリ・オペラ座バレエ学校。生徒たちは「エトワール」と呼ばれるトップダンサーを夢見て、厳しいレッスンを重ねている。子どもたちの1年に密着した。
人気実力ともに世界最高と言われるパリ・オペラ座バレエ団。付属のバレエ学校では、世界中から集まった生徒120人がエトワールを夢見てレッスンに励む。年1回の進級テストに合格できなければ退学、最終的にバレエ団に入団できるのは毎年数人という厳しい世界だ。レッスンや寮生活に1年間密着し、子どもたちの挑戦を追う2回シリーズ。第1回は入学したばかりの新入生の徹底的な基礎レッスンから公演を目指すまでを紹介する。

後編
300年の伝統があるパリ・オペラ座バレエ学校。生徒たちは「エトワール」と呼ばれるトップダンサーを夢見て、厳しいレッスンを重ねている。子どもたちの1年に密着した。
人気実力ともに世界最高と言われるパリ・オペラ座バレエ団。付属のバレエ学校では、世界中から集まった生徒120人がエトワールを夢見てレッスンに励む。そのレッスンや寮生活に1年間密着し、子どもたちの挑戦を追う2回シリーズ。第2回は身長や体重などに悩みながらも、さまざまなダンスで表現の幅を広げ、成長する姿を追う。そしていよいよ下級生は進級テストに、最上級生は入団テストに挑む。笑顔で一年を終えられるのか?

この番組の最後に、私の観た『天井桟敷の人々』で主人公のガランスを踊ったエトワールのアニエス・ルテステュは衣裳デザインも手がけているという情報が流れた。彼女はこの付属学校の卒業生。エトワールがいっときの称号ではなく、芸術的なセンスに裏打ちされたたしかなものであることが分かる。

補足
去年リリースされた映画、『至高のエトワール パリ・オペラ座に生きて』は引退を控えたこのアニエス・ルテステュを追ったドキュメンタリーだという。残念、去年12月のシネ・リーブル神戸での公開を見逃している。また、やってくれないかなー。