yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

夕食会

博士論文の指導教授だった先生が同僚の先生、それに今の院生たちに呼びかけてくれたようで、総勢9人もの集まりになった。ペン大の近所の最近できたばかりの中華レストランで、そのオシャレさに驚いた。私の行きつけていた「北京」(大学城)とは雲泥の差。去年ディオンヌが言っていたように、フィラデルフィアの食文化にも新しい風が吹くようになっていた。

私の博士論文を読んでくれていた院生がいて、感動してしまった。彼女の博論の第一章は三島由紀夫の『憂国』全編を覆っているワグナーの「トリスタンとイゾルデ」と作品自体との関わりだとのこと。聴いているだけでわくわくした。日本には2005年から2007年まで2年間研究員として来ていて(フルブライト奨学生?)、現在はハーバード大からグラントをもらって、博論を書いている。羨ましい。主としてワーグナー(そしてニーチェ)が日本の文学作品に及ぼした影響をテーマにしているとのこと。3日前に私がMETで『マダム・バタフライ』を観た話をすると、あの中で有効に使われていた文楽仕様の人形と黒衣の件を彼女の方から聞いてきた。これもうれしかった。こういう共通項のある人と出くわすことは、日本の研究者仲間ではほとんどなかった。やっぱりアメリカ!と思ってしまう。彼女の将来がみえた気がした。10年以内にアメリカのトップ大学で教鞭をとっているに違いない。

他の博士課程の院生たちもみんな優秀だった。残念なことに日本人は一人もいなかったけど。三島に興味を持っている院生がもう一人いて、彼は日本の武道、また修験道がテーマだという。三島にはその方面からアプローチしたようで、みるからにアーティスティックな人だった。それに私の同期だった学生たちよりもずっとインテレクチュアル。優秀な学生がそろっているペンがホント羨ましい。ペンの日本プログラムは安泰だし、将来も約束されていると確信した。

私の何年か上、あるいは同期だった院生は今やほとんどがアメリカの大学でのテニュアを獲て、頑張っているよう。うれしい反面、わが身をふり返って「いったいあんたは何やってきたの」と自問したくもなる。

ともあれ、刺戟をいっぱいもらって、指導教授にはいくら感謝しても感謝したりないくらい。頑張らなくてはと心から思った。