yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

歌舞伎座新開場柿葺落 九月花形歌舞伎『陰陽師 滝夜叉姫』 歌舞伎座9月21日

以下「歌舞伎美人」サイトより。

  第一幕 都大路
      「晴明、百鬼夜行に遇いしこと」より
  第三幕 貴船山中
      「将門復活。最後の戦いと大団円」まで


〈配役〉   
安倍晴明:染五郎
平将門:海老蔵
興世王:愛之助
桔梗の前:七之助
賀茂保憲:亀三郎
平維時:亀 寿
大蛇の精:新 悟
蘆屋道満:亀 蔵
平貞盛:市 蔵
雲居寺浄蔵:権十郎
小野好古:團 蔵
源博雅:勘九郎
俵藤太:松 緑
滝夜叉姫:菊之助


〈みどころ〉
夢枕獏の伝奇小説を初の歌舞伎化
 魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)する平安の都。謎の怪事件がやがて都を揺るがす恐るべき陰謀へと繋がり、都を闇が覆う時、一人の男が立ち上がる。その男の名は安倍晴明。陰陽師である―。

 一大ブームを巻き起こした夢枕獏の人気小説が、新開場した歌舞伎座にとって初めての新作歌舞伎として登場します。歌舞伎ならではの演出や工夫が凝らされた壮大なスケールでおくる話題の新作です。

 平安の都では、謎の怪事件が次々と起きています。ある晩、都で評判の若き陰陽師の安倍晴明は、源博雅とともに百鬼夜行に遇い、その中にいた美しい姫に目を奪われます。そんな中、晴明と博雅は、平貞盛が患った原因不明の瘡(かさ)を調べるうちに、都で起こる奇怪な事件や出来事が、20年前に討伐された平将門に関係していることを突き止めます。さらには、将門を討伐したかつての将門の盟友、俵藤太とともに、その死の謎を追ううち、将門の遺灰を盗み出した者がいたことが判明します。事件の真相とともに謎の姫の正体が将門の娘、滝夜叉姫であることがわかり、20年の時を越えた恐ろしい陰謀が、ここに明らかになります。

新しい歌舞伎座になってからの初めての新作歌舞伎。夢枕獏の小説を舞台化したということだが、原作を読んでいないので、どの程度戯曲になることで変貌し、それが吉と出たのか、そうでなかったのかは判断できない。ただ原作の途方もないスケールは想像がつく。それをわずか3時間あまりの芝居にするのは、やはりいくばくかの「無理」があったかもしれない。最初の二幕の芝居の流れの緩やかさに比べると、最終幕がやや唐突な感があった。「ああ、そうだったのか」と分かるところがキモになってはいるのだけど、それを前半部である程度暗示した方が、芝居としての緊張度が高くなったと思う。

最終幕の問題、それは芝居の初めから続いていたものだが、平将門という人物の描き方が浅かった。彼が「人民」が虐げられているのに義憤を感じ、それが同じく京の都から蔑視されていた東国の武士たちを集めて決起する。そしてそれが結局はもう一人の「逆賊」だった藤原純友に「利用」された結果でもあったというのも、かなり安逸な筋書きである。だから、最終幕の滝夜叉姫の「改心」が胸を打たない。菊之助の演技が生きない。それに関連する問題としてあるのは、「歴史解釈」の問題。娯楽作品ということはあるのだろうが、もっと真摯な解釈が欲しかった。

ただ、それにもかかわらずというべきか、海老蔵の怪物ぶりが他の欠点を補ってあまりあったのが、嬉しい発見だった。それと呼応した愛之助の怪演ぶりもみごたえがあった。亀蔵の芦屋道満も良かった。染五郎、勘九郎もそれぞれニンにあった役だった。

もっと言いたいことがあるのだけど、旅先のiPadでは思うようには進まないので、今日帰宅してから続きを書きたい。