yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『さくら橋』@新橋演舞場8月11日

前日に思い立って、急遽席をとった。以下がチラシ。


藤山直美の舞台は地元関西で2回観ているが、どちらもあまり印象に残っていない。そんなに期待しないで観たのだが、これがとても良かった。おそらく共演者のほとんどが大阪出身でなかったからではないか。チラシにあるように、大阪から東京に出てきた女の一生を描いているのだが、彼女の独特の大阪的雰囲気とそのことば遣い、節回し、呼吸が、チャキチャキの東京ことばの中に入ると、浮くどころかかえってほんわかと全体を包み込んでしまう。以前観た彼女の舞台は、共演者の多くが関西人だった。東京の舞台に立った方が、その本領を発揮するのかもしれない。大阪だと、もっと濃い笑いをサービスしなくてはならないのだろう。この日の彼女は笑いの度合いもややひかえめ。会話の間合いに入るさりげないひとこと、それもさらっとしたひとことが、なんともオカシイ。大阪だともっと度合いをあげないと、客は反応しないと思う。彼女も意識的にその辺りを計算しているのだろう。

藤山直美の向こうをはる加賀まりこが良かった。最初から初老!の役で、しかもアコギな金貸しで登場するのだが、堂々たるものだった。安達祐実もテレビ等でみるよりずっと「演技派」であることが判った。仁志川峰子も、健闘していた。このしたたかな女性陣を取り囲む男性陣も充実していた。もちろん、直美の相手役、市川月乃助もよかった。この人は新派公演でいつもみているので、その演技はおなじみ。石川三郎にはざぶとん三枚!河西健司も脇の矩を出ない、それでいてほんわかとした笑いを誘う点で、座布団三枚。こういう海千山千の組み合わせって、下手をすると救えない「悲劇」に陥ってしまうが、今回のはすべてが藤山直美と加賀まりこを軸に、うまく回っていた。

それにしても、観客の年齢層が高かった。新派の場合もそうだが。新橋演舞場という劇場、そういうところなのか。昔の劇場の雰囲気をよく残した劇場の一つで、私は最近再建された歌舞伎座より好きなんだけど。この日はこれを皮切りに、歌舞伎座、そしてシアター・コクーンとハシゴしたのだが、その順に観客年齢が低くなっていた。