yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ポリーナ・セミオノーヴァの『ジゼル』ミハイロフスキー・バレエ団@コロッシアム劇場、ロンドン、3月27日

11時近くにホテルに帰って来た。ホテル最寄の地下鉄の駅出口が閉鎖されていたため(ロンドンでは日常茶飯事)道に迷ってうんざりしたが、それを補って余りある素晴らしい公演だった!

今回、3月24日のロイヤルバレエ公演を見逃してしまったので、比較はできないのだが、私の中ではこのバレエ団が今まで観た中の最高峰である。去年の1月の兵庫県立芸術文化センターでの感動が甦ってきた。でも、あのときのキャストはどちらかというとマイナーなダンサーだったのだ。それでいてあの実力。そして若手に機会を与えるというその方針。やはり並はずれたバレエ団に違いない。

そして、今日はこれまた今まで観た中で最高峰のバレリーナに出逢った。ジゼルを踊っである。繊細、優雅、気品、といったプリンシパルにふさわしい資質をすべて備えていると同時に、そこに演技力が加わっているから、向かうところ敵なしである。彼女が踊りだすと、舞台に別の空間が発生し、周りのダンサーたちの踊りがすべてそこに収斂してしまう。パワー全開なんていうのではなく、とても静かな踊り、それでいて無限大の力を感じさせる踊り。そんな踊りである。プログラムに載っているジゼルを踊る彼女の写真。

以下はプログラムに掲載されていた彼女の写真。右側。左側はオリヤナ・ノヴィコヴァ。

また相手役の公爵を踊ったデニス・マトヴィエンコの踊り、特にその跳躍が圧巻だった。アクロバティックになる一歩手前で止まっていて、抑制が効いている。だから優雅である。この人も今まで私がみた男性のダンサーでは一番である。

下の写真の右側。左はマルチェロ・ゴメス。

どうしてこのバレエ団が一番だと思うか、その理由に思い当たった。演技力である。ドラマティックバレエのシュツトガルトバレエ団もしっかりした演技に裏打ちされたバレエ団だったが、このバレエ団も単にバレエのテクニックを極めるというだけではなく、ドラマとしてバレエを捉えるという路線なんだろう。
チェーホフの国なんですからね。もともと素地はあるわけである。

内容にもっと踏み込んで書きたいのだが、今日は二つも観劇したので、疲労困憊。以降にもちこしたい。