yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

二つの来日オペラ

兵庫県立芸術文化センターを常時チェックしていてはいたのだが、今年前半には海外オペラの来日公演がないのだと思い込んでいた。ところがなんと、神戸文化ホールにハンガリー国立歌劇場、10月にプラハ国立歌劇場のオペラ公演、『魔笛』がやってくることをひょんなことから知った。なんと迂闊な。『椿姫』の方は早速チケットをCNプレイガイドで取った。『魔笛』は良い席がとれそうもないので、もう少し待ってオケピで取ろうかと考えている。それにしても神戸文化ホールとは?!芸文センターやらびわ湖ホール等に比べると設備面でははるかに劣るのに。まあ、小さいホールだから、客席との一体感は醸し出しやすいだろう。

ハンガリー国立劇場のことは分らないけど、プラハ国立劇場はたしかに芸文センターのような「偉容を誇る」ものではなかったけ。ちょうど一年前にプラハでいくつかオペラを観たおり、いわゆる近代的な劇場とはまったく違う長い伝統に裏打ちされた「美しさ」に感動したものだった。まるで美しく年老いた貴婦人のような優雅さと気品を感じたっけ。かといって近づき難いというのではなく、違った文化圏からやってきた異邦人をも包み込むような温かさがあった。だから劇場に入って5分もたたないうちに、寛ぐことができたのである。でもアメリカ流にジーンズにセーターというわが出立ちは、かなり気が引けた。居心地が悪かった。ほとんどの観客は正装。つまり男性はきちんとしたスーツ、女性も肌もあらわなドレス、子供までもが正装。ヨーロッパでオペラを観るということが、何を意味するのかを肌身で感じる経験をした。

この小さな国、何度も外国の侵略を受けてきた国の矜持、誇り、そしてそれを裏打ちする芸術・文化のレベルの高さをいやというほど味わうことになった。なにしろ神聖ローマ帝国まで遡るんですからね。誇り高いボヘミアン。しかも支配者である異民族の文化をも取り込んで、それを自国仕様に変えているところなど、なかなかしたたかである。今度来日する国立歌劇場はドイツ占領下に造られたものだが、プラハにはもう一つ劇場がある。その名も「国民劇場」という。「オペラ、バレエ、演劇を乗せるのは国立劇場と同じだけれど、それらをチェコ語で演じる点が違っている。チェコ国民・民族のアイデンティティと独立を体現するために建設された劇場なのだ。外国の侵略を受けたことのない日本にいると、こういう「苦労」を実感として分るのは不可能だが、それでも劇場に身をおくと、ある程度は分った気がするのも不思議である。この国民劇場では一つオペラを観ただけだけど、それでも貴重な体験だった。

あーぁ、プラハに行きたい!去年、一昨年と行ったけれど、学会での論文発表があり落ち着かなかったし、勤めの関係上心を残して帰国した。もう大学を辞める決心をしたので、今年後半にでも再訪し、オペラ、バレエを堪能してきたい。となると、10月の神戸文化ホール公演をみる必要はないのかとも思う。