yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

剣戟はる駒座@池田呉服座12月25日千秋楽

千秋楽は混んでいると相場が決まっているので、どの劇団でもあまり気が進まないのですが、はる駒座のアットホームな雰囲気(舞踊、芝居ともに)が味わいたくて行ってしまいました。宅配便が午前中に来ることになっていたので、時間的には微妙だったのですが、3分遅れでなんとか間に合いました。桟敷しか空いていないとのことで桟敷に座ったのですが、ここの桟敷は椅子席なので、ラクチン、しかもよく見えて得をした気分になりました。

劇団員さんがとてもフレンドリーで、それでいて他劇団によくあるようにべたべたしていないのです。そこに劇団の矜持を感じます。「送り出し」と称する役者さんたちが観客を見送る「儀式」があるのですが、劇団によってはあれほどおぞましい光景はありません。下品の極みのようになる劇団が多い中、この二つの劇団には凛としたものが感じられます。

いつも以上の熱気で、とくにアンコールは盛り上がりました。楽しかった!

お芝居は『花の兄弟』(まちがっているかもしれません)。以前にはる駒座でみたことのあるものでした。でもかなり変えられていました。

侍の兄弟が仇討ちをしようと故郷を旅立ったのだが、途中はぐれてしまい、再会を果たした時には弟(倭さん)はやくざ一家の若い衆になっていた。兄(座長)は悪い侍(小虎さん)に絡まれていた若い女性を助け、その縁で同じ一家に世話になることになる。

1年経ち、弟の方は親分の妹娘と、兄の方は姉娘と将来を誓い合う仲になっている。しかし、一家を乗っ取ろうとする侍(以前娘に絡んでいた)がやってきて、兄弟の仇は二人が世話になっている一家の親分(龍治さん)だと暴露する。止める弟、そして姉妹の声もきかず、兄は親分を討とうとする。しかし、実は親分は誤って兄弟の父を斬ってしまったことが分る。また、まだ息のあった二人の父にとどめをさしたのが親分ではなく、例の悪い侍だったことも分る。二人はその場でその侍を斬り、仇討ちを果たす。

と、まあこんな筋なのですが、このお芝居は全体をみるものではなく、随所随所の見せ場を楽しむものだと分りました。

兄弟侍の兄を演った座長のメイクというか付け髭がケッサクでした。眉も含めて毛むくじゃらだったのです。最初登場した場面ではその侍が何日も食べていないため、よろよろしているという設定だったのですが、このヨロヨロぶりが最初の見せ場でした。

次の見せ場、これが劇中のハイライトだったのですが、それは一家の飯炊き役の三下(はるかさん)とヨロヨロ侍との絡みでした。たぶん、これははるかさんでなければごく「普通のおもしろい」場面となっていたはずです。でもそこははるかさん。最高にオカシカッタ。飯炊き役三下は今まで一番下っ端だったのが、目下(兄侍)ができると聞き、大喜び。それから「いびり」が始まります。ヨロヨロしている侍を捕まえ、ぞうきんがけ競争で他の子分たちと競って一番にならないとご飯は食べさせないといいます。それを「ズル」をして勝った座長。それとみて、今度は旅支度を身につける競争をさせます。それにも「ズル」で一番になった座長。やっとご飯にありつけます。ここは笑いすぎて涙がでてきました。はるかさんに好き放題遊ばれた座長はもう「お手上げ」という体でした。親分役の龍治さんも「アレ(娘のはるかさん)とはかかわりたくない」とおっしゃって、初手からお手上げ状態でした。これもオカシカッタ。だんなさんもお父も「負けてしまう」はるかさん、スゴイのひとことです。それでいて、とてもカワイイんですからね。最強です。

その最強ぶりがもっとも発揮できるのが、「平成のこまどり姉妹ショー」です。はるかさんのこまちゃん、倭さんのどりちゃんふたりの「歌謡漫才ショー」なのですが、なんという独創!今月これが2回みれてシアワセ。おふたりが歌を歌われるのですが、今まででは石川さゆりのものが多かった。つまり、はるかさんは歌も抜群にお上手なのです。なんでもCDデビュ—の話もあったそうな。頷けます。すごいメイクでお二人が登場すると、会場がワーッと沸きます。それをとらえて、「歌は顔ではありません。歌は心です」といいながら、自分の路線に観客をひきずりこむお手並みのみごとさ!まだの方はぜひ一度体験してみて下さい。

はるかさんは舞踊も抜群です.この日は美空ひばりの「雑草の歌」で、しみじみと、そして優雅に踊られました。

そのすぐ後に出られた座長、長髪の立ちで、白い着物だったのですが、ぞっとするほどおきれいでした。元宝塚スターの涼風真世によく似ておられます。私の前列に座った呉服座のおなじみさんと思われる女性が「よ!オトコマエ!」とかけ声をかけておられました。

ラストショーの「役者」では全員が紋付袴で踊られ、今年の締めをなさいました。こういうところにも劇団の矜持を感じます。そのあとのアンコールではそれを着替えられて、目一杯はじけておられました。