yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

アメリカ大統領選共和党候補

2012年11月の大統領選挙に向けてまだ1年以上あるのに、すでにヒートアップしている。来年の夏にはかなり大勢が読めるようになっているはずだけれど、現時点ではどの候補が有利ともいえないし、またこれからもより有力な候補が出てくる可能性も大である。今日のCNNニュース(日本語版)では前ミネソタ州知事が共和党の指名争いから早くも撤退したそうなアイオワでの模擬投票では、女性のバックマン下院議員が首位だったということだが米テキサス州のペリー知事も出馬表明したという。彼が今のところ有力候補になる可能性が高いともっぱらの評判である。というのも前大統領のジョージ・W.・ブッシュの後を継いでテキサス州知事になり在任期間を更新中という人だから。テキサス州は全米中その石油資源からもっとも豊かな州であり、加えて独立心のつよいテキサス魂をもつ人が多い。テキサスはヒューストンにしか行ったことがないけど、たしかに豊かな雰囲気があったし、人も東海岸の人に比べてより楽天的な感じがした。テキサス大のオースティン校で修士(MA)をとってペン大の博士課程に入ってきた友人など、いつもどれだけオースティンの環境が学術面でもその他のアメニティでもペンより優れていたかとペン大に来たことをぼやいていたっけ。テキサス、またここは広大な州なのだが、ここで一国一城の主として勤め上げたという実績は評価される可能性が高い。というのも経済がこけて自信を失っているアメリカ人の多くが、なんとか「強いアメリカ」を標榜したいと願っているだろうから。

アメリカで長期間生活するようになるまで、大統領選のなんたるかを まったく理解していなかった。日本の選挙、とくに首相を選ぶ首班使命のシステムとは似ても似つかないものなのだ。大学でアメリカ文化を教えていたとき、この大統領選挙の仕組みを学生にはもっともらしく「解説」したつもりだったが、その実態をほとんど把握していなかったのが、向こうで生活してみて分かった。ましてや実感としてはまったく分かっていなかった。

大統領の任期は4年だけれど、その3年目から次の大統領選のレースが本格的に始まるのだ。大学も否応なくそれに巻き込まれる。というか、それに率先して参加する。以前にブログにも書いたが、ブッシュジュニアが1期目から2期目を狙った選挙レースの終盤戦では、まだ民主党候補が決まっていなかったので毎週のように大学には候補者がやってきた。目的はスピーチだけではなく、討論会のようなものも開かれるので、そのときの受け答えによっては不利になったりもするから、候補者も必死だった。とくに大学でのスピーチ、討論会は学生、院生、教授といったいわゆる「インテリ」たちと議論する場なので、そこで理解してもらい支持をとりつけられればかなり有利に闘えることは間違いない。彼はもっとも有力な候補になる可能性がある。

アメリカは5月になると年度が終わりナガーイ夏休みに突入するが、そのころにはキャンパスのあちらこちらに共和党民主党候補者たちのブースが出て(学生がボランティアでやっていた)、無料の食べ物が振る舞われる。貧乏学生だった私など、それをはしごして1週間はほとんど食費を使わずにすごしたこともあった。たいていはバーガーなどのジャンクフード系のものなので、友人には「命知らず」とからかわれた。ペン大の学部生は多くが富裕層の子弟なので、そういう「せこい」ことをしているのはたいていが外国から来た大学院生なのである。

私のかなり独善的な偏った見方(ご容赦ください)でいうと、共和党候補は民主党候補よりも自身のインテリジェンス(スパイの方ではない)を強調することが少なかった。もちろんそれだからといって彼らがその面で劣っているというのではなく、あくまでも自分の支持基盤の層に合わせていたのだと思う。

一方民主党候補は理路整然と持論をぶつ傾向があった。支持基盤はもちろんインテリ層で、大学のキャンパス周辺の住宅街には民主党候補の名前を書いた旗、ペナントがひらめいていたり、ポスターが玄関ドアに麗々しくはってあったりした。私の友人(例のオースティン出身の)はゲイのカップルのところに間借りしていたけれど、彼らが住んでいた大きな邸宅のドアにはもちろん民主党候補者の名前のポスターが!そしてカップル自身もそれを支持する集会に出かけていたようである。

そういや共和党候補のポスターをはっている家はあまりなかったような。フィラデルフィアの街単位でみるとどちらかといえば共和党が優勢だったけれど、大学コミュニティだけを切り取ると圧倒的に民主党優勢だった。近場ではハーバード大学のあるケンブリッジプリンストン大学のあるプリンストンは街をあげて民主党派だったのではないだろうか。

こういうのは静かに選挙し、静かにその結果を見守るだけの日本人からみると、カルチャーショックである。アメリカ人にとってはこの4年に一回の大統領選は自分たちも工夫をこらして「参加」するイベント、いやお祭りなのである。これを闘うには候補者の側には長期戦を闘うパワーがいるし、参加する側にもそれに乗るだけのエネルギーがいるだろうなと思う。