yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

春陽座@明生座 7月1日昼

お芝居は、『祭りの夜』。新開地でもみたものです。主役はまことさんでした。あらすじは以下です。

ある一家の親分(新吾さん)が代貸しの新造(心さん)を連れて旅に出ているが、留守はその妻(真緒さん)と娘(かなさん)、それに用心棒(ひろしさん)が守っている。娘は新造の許婚だが、一家に数日前にやってきた旅人(まことさん)と相思相愛の仲になってしまった。一方一家の女中のおなか(かずまさん)は新造にぞっこんで、彼の帰宅を楽しみにしている。このお仲役のかずまさん、オモシロメイクがカワイイ。はまり役です。

親分が新造を連れて帰宅する。親分は近々彼と娘との祝言をあげて一家の二代目を継がせると宣言するが、娘は不承知である。新造は、今夜の祇園祭宵山に使って欲しいといって、「姐さん」には帯を、「お嬢さん」にはかんざしを土産にかってきていた。お嬢さんはそれには見向きもせずに奥に引っ込んでしまう。親分、姐さんも奥に入る。

ここからが「お仲ちゃん」と新造とのかけあい「漫才」。二人の芸達者の面目躍如です。お仲は新造のために縫いあげた浴衣を彼に渡そうとするが、固辞される。ようやく押し付けて、そのあと自分にもなにか土産がないのかと聞く。「鼈甲の櫛がある」というので、喜ぶお仲。でもそれは骨董店の主人が死んだ嫁のものだっといって新造にただでくれたもの。それと分かって、お仲はがっかり。親分の背中を流すといって新造が奥に引っ込むと、そこからはおなかの一人芝居。これが抜群におもしろい。新造との「アツアツの」新婚生活を一人二役で演じてみせる。たこの足の両端を二人で食べて行くパントマイムは秀逸でした。

場面替わって、お仲が縫った浴衣を着た湯上がりの新造に、お仲が絡んでいる。お仲はお嬢さんから新造宛の手紙を預かったという。お仲にさんざん焦らされた挙げ句にやっとそれを手にすることができた新造。中身を読んで愕然とする。「他に好きな人ができたので、おまえの妻になることはできない」と認めてあったから。新造はお嬢さんと話をしようと奥に引っ込む。それを追ってお仲も奥へ。

そこに旅人が旅姿で登場。一家を出る覚悟なのだがお嬢さんに止められる。一家の用心棒が出てきて、旅人に「お嬢さんを連れて行け」という。「腕の立つ新造は怒って旅人を斬るだろう。そうすれば一家は自分のものになる」とうそぶく。怒った旅人は立ち回りの後、用心棒を斬り捨てる。

しかし新造が出てきて、旅人に向かい「人の女に手を出せばどうなるか、覚悟はできているか」と迫る。言い残したいことがあれば、行っておくようにという。旅人が言うには、死期の迫った父親に懇願され、家を飛び出したきり帰ってこない兄を探しての旅だったという。彼の身の上話から、新造はその旅人こそ自分の弟だと気づく。しかしそうと分かった上でも刀を振り上げる。それを必死でとめるお嬢さん。振り上げた刀を降ろす新造。

お仲は背中に風呂敷包みを背負って、すっかり旅支度。「好きな人と一緒なら、たとえ火の中水の中。手鍋さげても厭やせぬ」と言ってうれしげである。新造は親分夫婦に、自分とお仲とは旅に出る前からそういう仲だったのだという。そしてお嬢さんと弟とを一緒にさせて、一家を継がせてやってくれという。折しも祇園祭りの囃子が聞こえてくる。新造はひょっとこの面、お仲はおかめの面をつけて踊りながら退場。

整合性が乱れることがなく、緻密な計算の上にできた芝居構成でした。また、新造役の心さんとお仲ちゃん役のかずまさんの絶妙の、そして抱腹絶倒の掛け合いをみれるだけでも、「おなかいっぱい」になることうけあいです。

もうひとつ、この劇団に魅力は座長の澤村心さんです。心さんの立ち姿は、並みいるイケメン座長、花形の中でも群を抜いています。とにかく美しい。決まっています。容貌、姿、声と三拍子そろておられるだけではなく、演技力も優れておられます。これほどの美形なのに押し付けがましさがまったくないのです。繊細で優しいお人柄が演技にも滲み出ています。ステキな方です。

明生座はJR環状線桃谷駅から商店街をぬけて15分ほど歩いたところにあります。ちょっと遠いのですが、それでも「来た甲斐があった」と思わせる舞台が展開しています。映画の代金でここまでの質の高い舞台がみれるのです。コスパ的には最高です。これを逃すのは「モッタイナイ」の極みですよね。