yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『劇場版アニメ攻殻機動隊S.A.C. SSS 3D』

梅田ブルクでの上映はすでに終了。近辺では京都、T・ジョイ京都での上映のみ。それも今月17日までということで行こう思ったが、1日1回のみの上映、それも終わるのが深夜12時なので、結局あきらめた。

もっと早くに3D版がレリースされたことを知っていればよかったのだけれど、知ったのが『フィナンシャル ジャパン』の最新号だったので仕方ない。でも6月12日にニコニコ動画で放映されるとのことである*1。あと11時間ほどである。

 現在公開中の映画『攻殻機動隊S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』の観客動員数が10万人を突破したことを記念し、本編映像がニコニコ生放送で無料放送される。放送は2011年6月12日(日)午前0時30分から。

 映画『攻殻機動隊S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』は、大ヒットアニメシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のシリーズ3作目となる長編『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society』を3D化したもの。物語の舞台は、情報ネットワークとサイボーグ技術の発達により、人々の意志が電脳で繋がれた2034年。幼児誘拐、記憶の改竄、電脳犯罪、といった社会問題が描かれる。立体視3D表現にすることで、劇場では本作品のテーマである「観る人を電脳化する」に挑戦。観客は"義体"(サイボーグ)化された人間になったかのような視点で映像を見ることができるという。

 番組は映画の観客動員数が10万人突破したことを記念して、新宿バルト9 シアター5で行われるイベント「劇場生コメンタリー上映会」を生中継するというもの。映像には本作を手がけた神山健治監督による生解説(コメンタリー)が付き、本編と共に、各シーンについての思い出や苦労話などの裏話が楽しめる。

FJに"攻殻"の識者3人衆のドワンゴ取締役・夏野剛さん、公認会計士の磯崎哲也さん、アニメ評論家の藤津亮太さんの「過激な」対談記事が載っていた。加えて監督の神山健治へのインタビューも掲載されてて、これがとても面白かった。

中でも、「攻殻機動隊」が初期のころから問題にしているオリジナルとコピーの問題への彼のコメントになるほどと思わされた。もしも「攻殻機動隊」に描かれているように人間の義体化、電脳化が進めばとうぜんその問題は起きてくる。情報がコピー可能なものとして広がる場合(twitter のretweetがまさにそれだが)、いったいオリジナルはどれなのかを峻別するのは難しい。社会の反応はそれにはどちらかというとネガティブである。もちろんロボット、それも人間を模したロボットにもそういうネガティブなイメージが負荷されている。オリジナルを消滅させるテクノロジーへの恐怖、嫌悪、反発、抵抗が出てくるのは当然かもしれない。そこで神山は次のようにいう。

コピーを繰り返していくことでいずれオリジナルは喪失していく。でもオリジナルが喪失した先にあるのももしかしてオリジナルなのでは・・・・全く知らないで間接的に情報を摂取してそれを語ったとしても、それも”オリジナル”なのかもしれないな、と。(中略)テキストペースで100%コピーされて”変質しない情報”が伝播しても、それを受け止める”人間”の個性で変質してゆくであろう、と。その変質した先にあるのは”オリジナル”なんですよ。それは人間が持っている可能性だし、ほとんどのものがデジタル化していくものの中で、”可能性”を語るとしたら、それは”好奇心”を持って情報を摂取していくことであると。そう『S.A.C.』ではまとめたんですよね。SF作品として絶望だけでなく、希望というものも提示できたんです。

さらに彼は最近の若い世代ーー彼の言葉によるとまず自分ありき」と考え社会の問題を客体化して自分の中にとりこむことのできない世代ーーが今回の震災をきっかけに変わることに期待をかける。ただ、この点ではかなり実態との温度差を感じてはいるようではあるが。

もちろんここに語った以上のものが作品として結実していることは間違いないと思う。芸術家なのだから。ただ能天気に未来を希望を信じているわけではないだろう。芸術家自身が抱えるジレンマ、葛藤が描かれてこそ傑作になるわけで、そこがめでたい結末があつらえられたハリウッド系映画と一線を画すところだろうから。

今晩深夜、ニコニコ動画をみるつもりである。