yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

劇団KAZUMA@池田呉服座 2月11日夜

現在新幹線こだまの車中。こだまだとPCをゆっくりと使える。でも充電がうまくいっていなくて、残りのバッテリーが28%!やれるところまでやります。

お芝居は『仇討ち芋侍』。初めて見る芝居でした。題名から分かる通り、喜劇?です。

茶店の主人がやくざから金を借りたものの、1両のはずが利子で5両になったと吹っかけられ、困っている。取り立てにきた代がしが帰ったあと、やせ浪人がやってくる。親の仇討ちをするため旅をかけてきたが、3日間何も食べていないというので、主人は食事を振る舞ってやる。店の用心棒になることを条件に。主人は彼を「芋侍」と呼ぶ。

やくざの親分がやってくる。彼の魂胆は茶店の娘を借金のかたに手に入れることだった。店先でもめているところへ、別の浪人がやってきて、茶店の主人の代わりに1両を親分に渡す。抵抗するやくざ一味だが、侍の剣さばきに退散せざるをえない。浪人は自分の名、「大熊田太郎次左衛門」と名乗り、そこを立ち去るが、娘はすっかりその侍に惚れ込んでしまう。

店の奥から食事を終えた芋侍が出てくる。主人がなぜ助けに出てこなかったのかと怒る。なんとも無責任な侍である。主人から彼を助けた侍の名を聞き、色めき立つ。その侍こそ親の仇だという。そこで主人は彼を連れて、大熊田の住む長屋へ出かける。

大熊田はこころよく二人を迎え入れる。主人が長屋の玄関にかけてある馬鹿でかい表札の由来を尋ねると、それは自分が殺した侍の係累の者が仇討ちをしやすいようにしているのだという。そして、同輩を殺してしまったいきさつを二人に話す。それは意外なものだった。相手の、つまり芋侍の父の方が卑怯な待ち伏せ、だまし討ちをかけてきたため、それを払った際に相手を斬ってしまったのだというのだ。大熊田の人徳から鑑みて、その話が正しいことを芋侍も認めざるを得ない。そこでいったん主人と帰ることにする。

ところが、そこへやくざ一家が殴り込みをかけてくる。助太刀をして一味を退散させた芋侍に感謝しつつ、大熊田は自分の首をはねてくれるようにいう。一旦は刀を振り上げた芋侍だが、それで空を斬った。曰く、「迷いを斬ったのだ。」仇討ちを止める条件として、大熊田に町人になり、茶店を継ぐことを勧める。そしてまた旅に出立する。

藤美劇団を観るのはこれで3回目ですが、座長以外はまだお名前がはっきりしませんので、また後日その部分は挿入します。

ここは圧倒的に男性の役者さんが多いのですね。座長、それともう一方の中堅の方を除いて、全員が若い方で、最もお若い方は若干15歳とのことでした。このかたまだ1年程度らしいのですが、舞踊ではソロで踊られて、サマになっていました。きっと稽古、がんばられたのでしょう。

藤美一馬さんはとても古典的なきれいなお顔をしておられます。それもつんとしているのでなく、ほんわかとしたムードを漂わせた方で、はじめてみたときから好感をもっていました。それと九州系のわりには濃くないところが好きでした。昨日の芝居も予想通りでした。喜劇のような悲劇のような、どこかつかみ所のないお芝居、これは座長のキャラそのものではないかと想像しています。その曖昧さが好きです。

舞踊ショー、第一部のミニショーの韓国の舞、ステキでした。男性陣がチョゴリを着て踊るのもきれいではあるのですが、どこかちょっとこっけいで、それが逆に魅力でした。若手の役者さんの踊りもやっぱり座長の路線にそっているのか、どれほど過激な動きをしてもどこかほんわかしたものが漂い、温かい気持ちになれます。

この温かさを味わいに何度も足を運びたいと思いました。

池田呉服座、すばらしい芝居小屋でした。今まで行った中で一番かもしれません。席が傾斜しているので、どこに座ってもよく見えます。それにできたてのほやほやということもあり、まだ木の香りがしています。天井、壁も凝っていますがモデレートな凝り方です。だから親しみやすい。規模も大きくもなく、それほど小さくもなく、居心地のとてもよい劇場でした。建築された方のセンス、一級ですね。もと役者さんが建てられた劇場とのことですが、福岡の新劇にしても役者にも観客にもやさしい劇場になっているのですね。枚方の「渚の湯」が新しい劇場にもかかわらず床に座る形態でしたので、「覚悟」していったのですが、映画館を改築したというだけあって、椅子席でした。それもとても座りやすい椅子でした。

また、もうひとことどうしても付け加えたかったのは、池田のこの地域、昔の風情を残していて、散策にも適しています。劇場斜め向かいには「落語ミュージアム」もありました。「呉服座」というのは昔このあたりにあった芝居小屋の名で、それを継承したとのことですが、その響き通り、品の良さと懐かしさを併せ持った劇場でした。また観客の質もとてもよかった。快適に観ることができました。住んでいる宝塚からは最短距離ですので、これからも頻繁に通いたいと思っています。