yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

エドモンド・ドゥ ヴァール著 ”The Hare with Amber Eyes” 1月20日

キンドルでこの本を注文したら即座に届いたので、この3日間、通勤の往復に読んでいる。

まだ」2/3程度しか読んでいないので、即断はしない方がいいかもしれないけど、重い内容だ。著者については前に紹介したブログで述べているので省略するが、日本と深い関係があることは頭の隅にとどめておきたい。

前のブログに書いたように、著者の一族はオデッサからやってきたユダヤ人である。彼の大叔父が住んでいた日本にやってきた著者が、大叔父から根付けのコレクションを見せられるところから話が始まる。

この大叔父との再会、きわめて冷静に描写されているのだけど、涙なしには読めない。叔父がどういう経緯で日本に定住し、そこで永遠の眠りにつくのかは、明らかにされてはいない。それでも行間から、この叔父のそれまでの苦労がにじみ出てくるのだ。重い。とにかく重い。

この本の第二章は、彼の一族、その長であるチャールスがいかにウィーンの社交界で活躍したのか、美術コレクターとして、また美術評論家として活躍したかが、詳細に描かれる。合わせて、当時のウィーンの華やかな社交界、そして文化活動が手に取るように描写されている。このあたり、あのプルーストをモデルにした映画を思い出してしまった。

印象派の画家、ルノワールドガなどの画家たちとのパトロンとしての交渉、プルーストなどの文学者との交流、1920年代から30年代にかけてのパリのきらびやかな社交界が、彷彿とされる。それにしてもこれだけ詳細に当時の状況を描写するには、膨大な資料に当たらなければならなかったと推察される。歴史家としての視点も入っているところがスゴイ。

そして、1938年にナチスがウィーンにやってきて、占領するのだ。今読んでいるのはこのあたりだけど、あまりにも哀しくて、辛くて、なかなか前に読み進められない。

それまで、富豪であり、芸術のパトロンを自負していた一族、西欧文化を享受していた彼の一族は、ユダヤ弾圧の嵐に飲み込まれ、天国から地獄へと墜落させられる。

ヴァールさんの文体、イギリス人特有の回りくどさ、ペダントリーに満ち満ちていて、なかなか手強い。とくにアメリカ人の文体に慣れている私には。でもそこが魅力でもある。ファミリー・サーガの常道を採っている。英国にはこの手の文学が多い。例えば、あの有名な、映画化もされた、Brideshead Revisited。 邦題は『ブライズヘッドふたたび』。この本も映画化すれば当たること間違いなしだ。

日本との根付けを介してのフカーイ関係は次稿にゆずる。