yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

伍代孝雄劇団@朝日劇場 ゲスト春陽座 1月14日夜 

春陽座の澤村新吾さん、沢田ひろしさん、澤村心さん、澤村かずまさんがゲストでした。

お芝居は『刺青奇偶(いれずみちょうはん)』で、これは去年10月の新開地の伍代劇団公演でも観ました。検索をかけたら、長谷川伸原作なんですね。歌舞伎でもやったことがあるみたいで(2008年4月歌舞伎座にて、半太郎に勘三郎、お仲に玉三郎、そして鮫の政五郎に仁左衛門という配役)、ブログ が参考になりました。

この方も長谷川伸が苦手のようですが、私も同じで、どうも白けてしまいます。とくに『瞼の母』。でも観客、とくに年配者の受けはいいんですよね。ともあれ、昨日のものは見ごたえ十分でした。松竹のサイト からあらすじを抜き出しました。

「生来の博打好きで江戸を追われた半太郎は、身投げした酌婦のお仲を救う。不幸続きの人生を送ってきたお仲は、本当の親切心から自分を救ってくれた半太郎の心根の美しさに胸を打たれて、生まれて初めて会った男らしい男、半太郎の後を追う。
こうして半太郎とお仲は夫婦となるが、半太郎は博打を止められない。やがて死病に罹ったお仲は半太郎の行く末を心配し、博打を止めて欲しいと願って半太郎の二の腕に骰子(サイコロ)の刺青を彫る。
博打を断った半太郎だが、この世の名残にお仲に良い思いをさせたいと博打に出かけ、賭場に難癖をつけ叩き出されてしまう。ところが、鮫の政五郎親分から意外な話を持ちかけられ、お仲のために、政五郎親分との命を懸けた勝負に挑むことになり…。」

以下は私の付け足しです。

お仲の死が近いことを知った半太郎。家財道具を買って死んでゆくお仲にみせてやりたいということで、またもや博打に手をだし、いかさま博打という因縁をつけたことで、政五郎一家のものに捕まってしまう。

政五郎が登場し、半四郎にそのわけを質す。博打で泣かせてきた、そして今死にかかっている女房に、家財道具でいっぱいになった家を見せて送ってやりたいという半太郎。その話を聴いた政五郎は、サイコロ勝負を自分として勝ったら、命を助けてやるという。

政五郎とサイコロ勝負に出て勝ち、政五郎から命を取るのを赦され、大枚の金まで恵んでもらって、お仲の待つ家に飛んで帰るところで幕。

半太郎を座長。お仲を三河家諒さん。政五郎を澤村新吾さん。その子分の一人をかずまさん。そして、お仲の面倒をみる近所の女を沢田ひろしさんという配役でした。心座長は冒頭の場面で身投げしようとする諒さんに絡むどうでもよい(?!)ヤクザ者の役どころでした。

ゲストが大勢来られても、ご自分の劇団の形をしっかりと崩されないところ、さすが伍代孝雄座長です。

澤村新吾さん、沢田ひろしさん、とにかくすごかった。存在感が。大きな声を出すわけでもなく、派手な演技をするわけでもないのに、とにかくすごかった。噂は聞いていたのですが、拝見するのは初めてだったので、正直驚きました。想像とは違っていました。

なんといっても伍代孝雄座長の半太郎が、そしてお仲が一人勝ちの芝居なんです。とくにお仲が腕に刺青を彫る場面、お仲役の諒さんとの絡みは泣けます。新開地で観たとき、圧倒されました。

でも、今回はちょっとちがいました。もちろん、孝雄座長、諒さんの存在感、圧倒的です。でも互角に渡り合える人がいたんです。

政五郎役の新吾さん、世の中の荒波に揉まれて来た中で培われた、厳しさ、そして優しさ、この役柄がもっているそいういう人情味をみごとに体現されていました。そこにおられるだけで、雰囲気がにじみ出ていました。最後の半太郎とのサイコロ勝負の場面、圧巻だった。

もうひとつ圧巻だったのは、近所の老婆を演られた沢田ひろしさん。諒さんとの綱引き、お仲が病床にあって、自分の死期が近いことを悟っているのを、それを悟られまいとする演技、その抑えた演技がよかった。両雄(諒さんも「雄」ですよね)がっぷりと組んだ芝居でした。

舞踊では、沢田ひろしさん。舞台に登場された瞬間から、「これなに?このひとだれ?」と。帰ってから調べて、納得しました。新吾さんとの二枚看板でいらっしゃった方なんですね。

『演劇グラフ』の今年2月号に澤村新吾さんについての橋本正樹さんの記事が載っています。今読み直して、けれん芝居の創始者、澤村源之丞さんの息子さんだったと知りました。この記事については別稿にしたいと思います。