yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

映画『残菊物語』の中の歌舞伎舞台

いま溝口健二の映画で論文を書いている。戦前からの映画監督は日本の古典劇の造詣が深いので、作品中にいろいろな演目が出てくる。溝口作品も例外ではない。

『浪速エレジー』(1936)では『新版歌祭文』中の「野崎村」の段が、『残菊物語』では『仮名手本忠臣蔵』から「四谷怪談」が、そして舞踊劇『石橋』が使われている。

『残菊物語』で、これらの歌舞伎作品は映画の内容と密接に関係しているのは間違いない。それを解明するような内容にしなくてはならない。

『残菊物語』はご存知のように、歌舞伎役者とその家の雇い人との身分違いの恋と別れを描いた作品である。実際に存在する歌舞伎の名跡、尾上菊之助、そしてその屋号、音羽屋をそのまま使っているのには驚いた。また、役者たちの多くが歌舞伎の家に生まれた人たちだったのにも驚いた。