yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

津川竜座長率いる最強劇団「剣戟はる駒座」

去年の2月から1年数ヶ月にわたって40余り旅芝居を観てきたけれど、この劇団ほど旅芝居の枠を超えた、旅芝居独特の「臭さ」をまったく感じさせない劇団は他にありません。そういうふうに分けられる劇団が他にあるとしたら小泉たつみ座長の「たつみ演劇Box」かな。どちらも旅芝居の泥臭さを感じさせない、おしゃれさ、もっというならソフィスティケーションをまとった劇団です。



「たつみ演劇Box」が座長の素質からくる雰囲気がそういうい洗練を覆っているのに対し、はる駒座はもっと「確信犯」です。綿密に練られたショーの構成、隅々に渡る計算された緻密な細部、これらは多分座長の時代をつかみとるセンスのよさ、そしてそれをどう舞台化するかということへのたゆまざる研究、それを実践する強い意思からきているのでしょう。たぶん睡眠時間を削ってでも、そういう独自の舞台を創り上げることに力を注いでおられるのでは?と思わせるものがあります。



でもそれが何か計算づくしの「冷たさ」となっているのではありません。そこがこの劇団のすごいところなのです。座長さんには何か温かさ、関西人特有の「おもろさ」といった雰囲気があります。それに座長夫人の晃大洋(こうだい はるか)さん!名前どおりの広さ、深さを感じさせるステキな方です。座員さんたちにも静と動の絶妙なバランスを感じます。



商業演劇といってもよいほどの芝居の手堅さ、上手さは演劇好きの友人を連れて行っても納得させるレベルです。手抜きが一切なく、妥協のない劇団という点では恋川純弥さんのお芝居を思わせます。そのちょっと硬質のお芝居にコミックレリーフを入れるのが洋さん、不動倭(すごい「おなまえ」でしょ)です。このお二人が登場するだけで、お芝居が豊かな、情のこもったものにたちまちにして変わってしまいます。「座長が嫌がってプログラムに載せない」という「平成のコマドリ姉妹」、このお二人の歌謡ショーで必見です。ただし、笑い死にしても責任は持てません。



ショーの構成はほんとうに凝っています。ソロの舞踊はあまりなくて、たとえば座長が踊っているときでもバックで何人かが踊るという形をとっていることが多い。またラストのショーがそれ一つで芝居になるほどのストーリー性を持たされていて、それが中途半端でない点でも他劇団をしのいでいます。昨日(7日)観た『アテルイ』もそうでした。ここまで完成させたものをみせるにはどれほどの稽古があったのだろう、と思わせます。これは4月の新開地公演でも観たけれど、もっと完成度が高くなっていました。



それと、観客層が他劇団と比べると「若い」です。その点でもたつみさんのところと似ています。岡山のやま幸なんて、観客はたぶん地元の人が多いはずなのに、元気のよい若い人達がはんちょや拍手でものすごく盛り上げてました。それで全体の雰囲気がパーーと明るくなって、若やいできます。この4日、6日、そして昨日7日と、浪速クラブがその熱気で揺らいでいました。九州、岡山、東京の遠征組が先導しての応援です。



初日もすごい熱気でした。アンコールもありました!新開地では「遭遇」しなかったけど、やま幸では堪能しました。あの旅館式の広間で観客がタオル振り回しながら踊り狂ってているのは圧巻でした。浪速クラブでも参加できました。ホント楽しかった!



3ヶ月つづいた関西公演も今月でおしまい。来月からは東京です。