能・狂言
先ほどYouTube で実に興味深い動画を発見した。題して「後見のお話」(8月10日発信)。話をされるのは橋本光史師。京都観世会館の舞台での「後見とはなんぞや?」のレクチャーである。リンクしておく。 www.youtube.com 常々、「後見」の役割がどんなものか…
この日、シテ予定の浦田親良師がご病気で、お父上の浦田保親師がシテを務められた。本来なら後見のはずだった浦田保親師がシテを担われたということである。私は当日まで知らなくて、会館ロビーの掲示で知った。facebookで前日予告されていたんですね。お若…
「七曜会」ほど見応えのある社中会は他にないと思う。お囃子の太鼓方、前川光長師とご子息の光範師のお弟子さんたちの社中会、つまりお二人の師のお弟子さんたちの発表会。それがみなさん非常にお上手。レベルがとても高い。そして(ここが肝心なところなの…
日経の記事で知った。ショックだった。内容は以下。 能楽のシテ方観世流で、復曲や新作にも意欲的だった浅見真州(あさみ・まさくに、本名=浅見真広=あさみ・まさひろ)さんが7月13日、病気のため自宅で死去した。80歳だった。告別式は近親者で行った。 1941…
能及び歌舞伎の『俊寛』を思わせる現在能。後場に亡霊が出て来て過去の自身への晴れることのない想いを語り舞うという「夢幻能」よりも現代劇に近い感じがするのは、観客が舞台の時間を同時的に共有できるからだろう。だから夢幻能よりもドラマチックな時間…
夏といえば歌舞伎。8月は東京遠征を考えていたけれど断念。8日まで五輪、その後(今のところ)パラ開催らしいので、感染者爆増の中、それも変異ウイルス混合体が生まれる可能性のある真っ只中に行く気はしない。 しかし無念。特に猿之助が岩藤を演じる『加賀…
素晴らしいシテだった。キビキビと若々しくて、それでいてどこか翳りがにじみ出る演技に唸った。動きのキレがみごとで、見ほれた。以下が当日の演者一覧である。 前シテ 浦の老人 橋本忠樹 後シテ 漁師の霊 橋本忠樹 ワキ 日向国の男 有松遼一 アイ 浦の男 …
文楽は「夏休み文楽特別公演」の第一部、第二部、第三部を観劇予定。どの部もすごいことになりそうな予感。個人的には「うつぼ猿」の藤太夫、「生写朝顔話」の呂勢太夫、そして三味線の若手勢に注目している。配役表を見ると、太夫、三味線、人形ともに、若…
京都観世会による恒例のロームシアタアー京都でのチャリティ公演である。チケットは6月1日より発売開始されている。全席自由席で1500円。早速昼の部を購入した。夜の部のハイライトは片山九郎右衛門師が後シテをされる『鞍馬天狗』で、見たいのは山々だけれ…
ここ2ヶ月余り苦しめられた腰痛、ひところ「もう歩けないのかも」と絶望したりしたのだけれど、やっと元どおりになる目処がついた。で、観劇再開。ただ、コロナ禍の下で出歩くことはままならない。だからできるだけ控えめの観劇になるだろう、それも近場の…
浦田保親師の仕舞「嵐山」は蔵王権現の舞とのことで、華やぎと雄々しさとが一体となっていた。浦田師は昨年配信された「<きょうの能楽師>仕舞編」#10」ででも同曲を舞っておられる。YouTubeサイトをリンクしておく。 www.youtube.com 詞章を度々引用させ…
歌舞伎が描く義経は英雄としての勇姿であることが多いけれど、能『屋島』の義経は修羅道に堕ちた姿で登場する。成仏が叶わず、底なしの煩悩に苦しむ義経である。さすが世阿弥、その武勇を背に雄々しく登場する義経ではなく、まさにその逆の義経像を立ち上げ…
近畿圏は「非常事態宣言」が解除された。しかし、未だ解禁とは程遠い演劇界公演。ワクチン接種による一日も早い完全解禁が待たれる。 心をとりなおして、来月の観劇予定をアップさせていただく。 まず「劇団荒城」。総座長真吾さんが3月公演を他劇団に譲られ…
昨年の例会公演のほとんどが代替公演、しかも抽選によるものだった。これは見事にハズレ。諦めていたら、後日チケットをDVDと引き換えてくださった。本舞台を見たかったのはやまやまではあるけれど、ゆっくりと確認しながら観賞できる録画も悪くないかもしれ…
作者は世阿弥の子、元雅。後場の「天女の舞は近江犬王の曲舞を大和に導入したもの」だという。曲舞は元々は大和猿楽にはなかったのを、その優雅さと面白さに感銘を受けた観阿弥、世阿弥が導入したものである。白拍子の系譜を引くもので、女性が男装で舞うと…
緊急事態宣言」の下、2月までは条件付きでの開催だった能公演、3月はだいぶん緩和されると予想している。実際に物理的条件の緩和が公演数増加になって現れている。 まず、「京都観世会の素謡と仕舞の会」での素謡3本の内、梅若実師が『檜垣』を、林宗一郎師…
小鼓の成田達志師と大鼓の山本哲也師が企画・運営する「TTR能プロジェクト」、何回か見てきているけれど、今回のものが最も面白かった。主たる演者は京都勢、そこに大阪から大槻裕一さんが加わっている。上方というと大阪をさしてしまうけれど、こちらは上方…
二年前の大連吟で謡った「高砂」。思わず謡に同調してしまう。身体も共動してしまう。ウキウキ感が半端ない。神を言祝ぎ、天下泰平、五穀豊穣を祈る曲である。今まさに必要な曲と言ってもいいかもしれない。訳もなく嬉しくなり、全身高揚感に満ちてくる。と…
九郎右衛門師の姿が、とにかく美しい。感情移入を極力避けて、表情もおさえぎみで、ただ形、型でシテの深い恨みと悲しみを表現することに徹しておられた。もっとも面も装束も着けない舞であれば、エッセンスのみを抽出して舞うのは自然かもしれない。 見てい…
久々の京都観世会館。わけもなくうれしかった。 午前10時に始まり午後6時に終了予定の浦田保親師の社中会、私は12時頃に観世会館に到着、午後5時すぎに退出した。最後まで居たかったのだけれど、長丁場と夜公演に耐える自信が最近とみになくなっている。ただ…
配役・スタッフは以下(by 「歌舞伎データベース」)。 配役 武蔵坊弁慶 = 坂東鶴之助(4代目) 源判官義経 = 市川猿之助(3代目) 富樫左衛門 = 市川雷蔵(8代目) 亀井六郎 = 市川団子(4代目) 片岡八郎 = 中村太郎(2代目) 駿河次郎 = 澤村六郎(2代目) 常陸坊海尊…
この日の演者は以下。 シテ 葛城山の女 観世清和 葛城明神 ワキ 旅の山伏 福王茂十郎 ツレ 山伏 是川正彦 山伏 中村宜成 アイ 里人 松本 薫 小鼓 大倉源次郎 大鼓 河村 大 太鼓 前川光長 笛 杉 市和 後見 林宗一郎 杉浦豊彦 地謡 河村和晃 大江泰正 深野貴彦…
それもメルカリで。おそらくは故人の遺品整理をされていた方の出品だと思う。たまたまスキムしていた折に発見。これも何かの縁と感じて注文。実際にこの数の謡本が一挙に届いた折には、ただただ感激した。 主要な謡曲を網羅しているわけではないけれど、恐ら…
一つ前の記事に引用した「銕仙会」能楽事典の『翁』に以下のような解説があった。 この(『翁』の)直後に引き続いて能が演じられる場合、囃子方や地謡は舞台に残り、そのまま能を始めます。この形式を「翁附(おきなつき)」といい、きわめて祝言性の高い、…
昨年の1月例会の『翁』は観世流宗家の観世清和師が翁、千載は大江広祐師、三番三は茂山茂師のお三方。小鼓の頭取は大倉源次郎師、大鼓、石井保彦師、笛、森田保美師、太鼓、前川光範師だった。このブログ記事にしている。 さて本年の『翁」、まず演者一覧を…
今回のフリーの『天と地と』は、以下の2つが達成されていた点で、羽生結弦選手の今までの集大成だと感じた。 1.「天と地」は羽生結弦選手の演技を貫くテーマ 2. 和/洋のアマルガムが軸 1.「天と地」は羽生結弦選手の演技を貫くテーマ (1) 『天と地のレクイ…
この曲については先月(11月)7日の「奈良しば能」で西野春雄氏が言及されていた。この「しば能」で演じられた『高安』も西野春雄氏監修での復曲上演で、演能前の解説が非常に丁寧で、しかもわくわくするほどおもしろかった。今回も演能前に十分程度の解説を…
この京都観世会の納会は二部構成になっていて、コロナ禍での例会公演に倣い、応募して当選した人だけ「観劇権」を確保できるようになっていた。しかもすでにチケットを持っている人だけが応募できる。今回はラッキーなことに、一部、二部ともに当選だった。…
前日の「petit能」と、翌日の京都観世会例会に挟まれたこの日、体調が思わしくなかったし、コロナ感染が心配だったので直前まで迷いに迷った末、出かけた。前売り券を持っていたこともある。でもやめるべきだったと後悔している。 能『清経』は以前に林宗一…
以前にも京都観世会で3回ばかり『龍田』を見ている。直近は昨年9月の河村浩太郎師シテの「林定期能」公演。若々しい演者と華やかな衣装がビジュアル度の高い舞台を創り上げていた。当ブログ記事にしている。 www.yoshiepen.net 昨日の京都観世会納会のチラ…