yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

片山九郎右衛門

片山九郎右衛門師が小野小町を演じられた『卒都婆小町 一度之次第』in「片山定期能七十周年記念特別公演」@京都観世会館1月25日

この「記念公演」には、三島由紀夫の『近代能楽集』にコレクトされた作品、『卒塔婆小町』(三島版では「都」が「塔」)と『綾鼓』(観世流では『恋重荷』)が入っていた。昨年末に九郎右衛門師の『邯鄲』を見ているので、「充足感」があった。 『邯鄲』を見…

片山九郎右衛門師の女性造型が見事だった舞囃子「砧」in「杉浦元三郎七回忌 追善能」@京都観世会館1月19日

この日、二階席だったのだけれど、一階席よりも舞台全体がみわたせた分、演者の優れたところ、そうでないところがより強調されて目に映った。片山九郎右衛門師はもう非の打ち所のない完璧の上を行く完璧。眼福に酔った20分余りだった。 「砧」は仕舞は見てい…

沈潜した嘆きのさまが見事だった杉浦豊彦師シテの能『景清』in「杉浦元三郎七回忌追善能」@京都観世会館1 月19日

追善公演ということもあり、非常に盛り沢山というか、見応えのある能の舞台だった。能は『景清』、『道成寺』の二本、あと素囃子と舞囃子が一本ずつ、三本の仕舞、そして狂言、『二千石』。連吟「当麻」、仕舞「天鼓」は遅刻して見逃してしまった。 まず能の…

観世清和師の『翁』in「京都観世会1月例会」@京都観世会館 1月12日

『翁』を初めてフルで見たのは3年前の1月3日、八坂神社での奉納能でのこと。シテ翁を金剛流宗家の金剛永謹師、三番三を茂山茂師が演じられた。シテの白色尉、三番三の黒色尉の面、それに三番三による鈴ノ段での能らしからぬ派手さが印象的だった。あとで能成…

片山九郎右衛門師の若々しい盧生だった 能『邯鄲』@京都観世会館12月22日

見ている間に、三島由紀夫の『近代能楽集』の巻頭を飾る『邯鄲』が浮かんできた。九郎右衛門師が演じられる盧生に三島『邯鄲』の次郎が重なった。以前にみた『邯鄲』ではこういうことは起きなかった。九郎右衛門師の盧生解釈がおそらく他演者と異なっていた…

能・狂言・文楽の披露が目玉だった?「即位礼正殿の儀にともない来日した外国元首・祝賀使節らをもてなす首相夫妻主催の晩餐会」@ホテルニューオータニ東京10 月23日

ちょうど東京滞在中だったので、ホテルでニュースでは見たのだけれど、別にきちんと全編見るつもりはなかった(当方、海老蔵と聞いただけで虫酸が走るので)。昨日、羽生結弦さんの「スケート・カナダ」でのEXの演技、「パリの散歩道」をyoutubeで検索中、引…

貴重な体験だった舞囃子「大典」in 「秋の杉会囃子大会」@京都観世会館10月14日

片山九郎右衛門師がシテの天津神、味方玄師がツレの天女での連れ舞いがよかった。本年7月にお二人のシテ・ツレでの能『大典』の奉納があった。横浜能楽堂に請われての公演だったという。「令和」という希望に満ちた新しい御代を寿ぐのに、技量最高を誇るこの…

片山九郎右衛門師の舞囃子「融」in 「第30回初秋の能 分林保・分林弘一追善能」@京都観世会館9月29日

お囃子、地謡方は以下の方々。 笛 森田保美 大鼓 河村 大 小鼓 吉阪一郎 太鼓 井上敬介 地謡 大江広祐 味方玄 古橋正邦 橋本忠樹 九郎右衛門師の「舞囃子」はその早舞部を切り取ったもの。改めて舞の旋回の多さに瞠目させられる。能で、こんなに頻繁にくるく…

「真如の月に出逢えた能『三井寺』 in 「京都観世会九月例会」@京都観世会館 9月22日

前場と後場との舞台は変わる。前場では清水寺、後場では三井寺になる。時期は8月15日の仲秋。狂女ものだけれど、『隅田川』などとは違い、狂女は息子を探し当てることができたハッピーエンドになっている。 片山九郎右衛門師のシテは穏やかだった。住僧の制…

片山九郎右衛門師の激しくも哀しい仕舞「鉄輪」 in 「片山定期能九月公演」@京都観世会館

仕舞はキリ部。地謡は橘保向、青木道喜、古橋正邦、河村和貴の各師。 夫に捨てられた女が、新妻と一緒の元夫の元に怨念となって現れ、陰陽師、安倍晴明があらかじめ用意しておいた身代わりの人形を責め苛むという内容のこの曲。その『鉄輪』の最も恐ろしいク…

10月の観劇予定

能はいくつか見る予定にしている。修学院きらら山荘での薪能、林宗一郎師の『山姥』と片山九郎右衛門師の仕舞「砧」を楽しみにしている。京都観世会館での「京都観世能」では梅若実師の『卒都婆小町』と杉浦豊彦師の『融』を見る予定。社中会は去年素晴らし…

片山九郎右衛門師の能『善界 白頭』in「能楽チャリティ公演 ~被災地復興、京都からの祈り~」@ロームシアター京都サウスホール 8月29日第二部

片山九郎右衛門師のシテは、さすがの見応えだった。ワクワクした。 先月に湊川神社で見た『善界』には、実際のところかなり退屈してしまった。後場になって初めてワキが登場する演出が特徴の『善界』。意表をつかれるけれど、それによってサスペンスが増すと…

世阿弥美学の顕現−—片山九郎右衛門師の舞囃子「井筒」 in 「TTR能プロジェクト企画公演 和魂VI 世代競演・時分の花」@湊川神社神能殿 7月28日

演者さんは以下の方々。シテも地謡もお囃子も当代トップの方々を取り揃えての贅沢な舞囃子だった。 シテ 片山九郎右衛門 地謡 河村晴道 味方玄 林本大 山田薫 笛 左鴻泰弘 小鼓 成田達志 大鼓 山本哲也 太鼓 前川光範 作者の世阿弥自ら「上花也」(『申楽談…

九郎右衛門師の研ぎ澄まされた感性が光る『安達原』in 「面白能楽館 恐怖の館」@京都観世会館 7月27日

片山九郎右衛門師の舞台で感動しなかったことは一度もない。常にそのクオリティの高さとそしてそれを可能にする人格・品性の圧倒的高さに感動させられる。これ、決して大仰に言っているのではない。彼の舞台を一度でも見たことのある人なら、必ずや同意して…

絶句ものだった片山九郎右衛門師の舞囃子「邯鄲」in 「大倉流祖先祭」@大槻能楽堂 6月4日

舞台を縦横無尽に舞い回る動きが多く、力強くダイナミックな舞台だった。しかも、そのモーション一つ一つが勁かった。私の位置からは九郎右衛門師のつま先を上げた白足袋の裏が冴え冴えとよく見えた。すすっと前に出て、さっと回転、またすすっと進まれる。…

観世寿夫師が透けて見えた浅見真州師の能『砧』@パリ市「シテ・ド・ラ・ミュージック」2019年2月8日 NHK eテレ2019年4月27日放映

浅見真州師のシテの哀しみが切々と迫ってきた。自然と涙が溢れた。世阿弥作だという。さすがの詞、そして構成である。 以下、NHKのサイトから。 パリで行われた能楽公演から、世阿弥の屈指の名作、能「砧(きぬた)」(観世流)をお送りする。出演:浅見真州…

蝶が可憐に舞っているかのようだった河村博重師の能『胡蝶』in 「京都観世会三月例会」@京都観世会館3月24日

例によって、「銕仙会」の能楽事典から曲解説を引用させていただく。 <内容> 作者 観世信光 場所 京都一条大宮 季節 春 分類 三番目物 <概要> 僧侶の一行(ワキ・ワキツレ)が京都 一条大宮に至り、由緒ありげな邸宅で梅の花を観賞していると、一人の女…

能の新しい可能性への挑戦だった能楽『鷹姫』in 「シリーズ 舞台芸術としての伝統芸能 vol.2 」@ロームシアター京都 2月3日

一昨年10月に京都観世会館で『鷹姫』をみている。その時書いた記事をリンクしておく。 www.yoshiepen.net とにかくすばらしくて震えるほど感動した。役の人物が憑依したかのような、シテの九郎右衛門師とシテツレの味方玄師だった。岩役の地謡方も力があり、…

片山九郎右衛門師の能『海士』in 国際交流基金主催「能と狂言の会」@京都観世会館 11月20日

能『海士』は今年9月の林宗一郎師の舞台を見逃してして以来、見る機会がなかった。昨年の京都市立芸大の講習で浅見真州師シテのDVD(NHK放映を録画したものらしい)版を見て以来、ずっと見たいと願っていた演目。以下に一昨日の演者一覧を。京都観世らしく、…

亡霊の悲しみを生きて魅せた片山九郎右衛門師の『熊坂 替之型』in 「片山定期能九月公演」@京都観世会館 9月16日

以下が当日の演者一覧。 前シテ:赤坂宿の僧 片山九郎右衛門 後シテ:熊坂長範の亡霊 片山九郎右衛門 ワキ:旅の僧 福王和幸 アイ:土地の男 茂山忠三郎 後見 味方玄 小林慶三 笛 森田保美 小鼓 曾和鼓堂 大鼓 河村眞之介 太鼓 前川光長 地謡 大江広祐 河村…

【能楽チャリティ公演 被災地復興 京都からの祈り】@ロームシアター京都 サウスホール 8月23日 第一部

二部になっていて、第一部は午前10時半、第二部は午後6時半開演予定だった。台風接近のため、第二部は午後3時開演に変更のアナウンスがあった。私が見たのは第一部のみ。 素晴らしい演者さんたち、それも全員がボランティア(と思われる)。京都観世の関係者…

片山九郎右衛門師と清愛さんの豪壮・絢爛な獅子舞に感動『石橋 大獅子』in 「四世梅若実襲名披露京都公演」@京都観世会館 6月2日

後場は親子競演で、九郎右衛門師が後シテの「白」を、ご子息の清愛さん(「師」とすべきか「君」なのか迷う)が同じく後シテの「赤」を舞われた。前シテは大江又三郎師。 まず白獅子が囃子方総動員で奏じる「乱序」に乗って登場。そのあと太鼓が主導する小鼓…

片山九郎右衛門師の能『蘆刈』 in 「第21回片山九郎右衛門後援会能」5月26日

解説と詞章は小原さんという方のサイトを参照させていただいた。ありがとうございます。小原さんは「宝生の能」平成10年5月号を参考にされたとのこと。内容解説もお借りする。 津の国日下(くさか)の里の住人、左衛門は貧乏の末、心ならずも夫婦別れをしま…

仕舞「善知鳥」、「九世戸」、「水無月祓」、「女郎花」 in 「林定期能」@京都観世会館5月20日

仕舞の醍醐味 「善知鳥」味方團師 「九世戸」林宗一郎師 「水無月祓」 片山伸吾師 「女郎花」 片山九郎右衛門師 仕舞とはいえ今までに見ていない番組が多く、とくに「善知鳥」は能として見たいのに、まだ叶っていない。この4本はそれぞれの演者たちの個性も…

片山九郎右衛門師の仕舞「雲林院」 in 「片山定期能1月公演」@京都観世会館1月21日

どこまでも静か、そして美しい舞いだった。能、『雲林院』は『伊勢物語』の中核をなすところの在原業平と後の二条后、藤原高子との逃避行を題材にした作品。この仕舞では最後の「クセ」部がまわれる。京都紫野の雲林院を訪れた公光の前に現れた業平の霊が高…

片山九郎右衛門師と味方玄師による能『二人静』@大津市伝統芸能会館 1月8日

そういえば昨年の同じ頃にこの場所で、味方玄師の『竹生島』を見たんだった。その頃はまだ能にここまで溺れていなくて、「いいな」って感じる程度だった。とはいえ、心惹かれ、胸がざわざわとした。オケピで譲っていただいたチケット、正面の前から2列目とい…

片山九郎右衛門師の舞囃子「高砂」 in 京都観世会「謡初式」@京都観世会館2018年元旦

みどころ満載の謡初式。期待に胸膨らませて出かけた。開演10分前に到着したら、ほぼ満席。正面席はいっぱいだったので、中正面に。柱がちょっと邪魔になるけれど、シテの舞も地謡方もお囃子もよく見える。京都観世会幹部の方々による舞囃子、仕舞、加えて狂…

片山九郎右衛門師の能『野宮 合掌留』in「京都観世会十一月例会」@京都観世会館11月26日

『野宮』は味方團さんのシテ、また寺澤幸祐さんのシテで見ているので、私には馴染みがある感じ。とはいえ、片山九郎右衛門さんの六条御息所は、その圧倒的存在感で衝撃だった。絶品の舞台を、その舞台時間を「共有」できる幸せをしみじみ噛みしめていた。 こ…

片山九郎右衛門師シテの能『殺生石 白頭』in 「高槻明月能」@高槻現代劇場中ホール11月8日

清々しく、まさに「明月」を表象する九郎右衛門さんのシテ。「鬼畜物」とも呼ばれる五番目物(切能)であるにもかかわらず、清涼感が残ったのは九郎右衛門さんのシテの舞い、謡に負うところが大きい。そしてもちろん、京都観世流の方々の地謡、それにお囃子…

観るべし!<片山九郎右衛門+味方玄>チーム、『鷹姫』@京都観世会館10月22日

台風襲来の中、観世会館の中は熱かった!午前の部と午後の部の2本立て。午前の部を迷うことなく選んだ。片山九郎右衛門さん、味方玄さんの舞台だったから。あらかじめ予想していたとはいえ、片山九郎右衛門さん、味方玄さんの、まるで役の人物が憑依したか…