文楽
「中将姫(雪責)」の話自体はとてもドラマチック。だから、芝居の作り手の興味を引くのだろう、謡曲、浄瑠璃、そして歌舞伎で取り上げられている。以下、Wikiからの興味をそそられる解説。 中将姫伝説をもとにした演目であり、中将姫のことはこの『鶊山姫捨…
4月28日に亡くなられた。あの伝説の豊竹山城少掾の最後のお弟子さん。ずっと文楽のトップを走って来られた大夫。1989年に人間国宝。2014年5月に、68年に及ぶ大夫生活に終止符を打って引退されていた。生前は文楽劇場に乗られる度に、その素晴らしい喉を堪能…
「合邦住家の段」のみ。Wikiに詳しい解説が載っているし、長い段なのであらすじは割愛する。説経節の「しんとく丸」などが題材になっている。ちなみに寺山修司の『身毒丸』(1978)も、この説経節を素に書かれている。継母と義理の息子の恋愛といえば、古い…
今回の文楽初春公演の番組中、最も良かった。期待値が高くなかったので、これは予想外。期待していなかったのは、先月ロームシアターで見た「二月堂」が良くなかったから。こちらは渚の方を坂田藤十郎、良弁大僧正を四代目鴈治郎が演じた。歌舞伎の「二月堂…
『紅葉狩』といえばつい先月、能の『紅葉狩 鬼揃』を二条城二の丸御殿で見たばかり。片山九郎右衛門さんの上臈/鬼女、味方玄さん、片山伸吾さん、橋本忠樹さんの侍女、福王和幸さんの維茂だった。歌舞伎では2013年6月に国立劇場の「歌舞伎鑑賞教室」で見て…
先日見た昼の部の『鑓の権三重帷子』と『八陣守護城』には圧倒された。その勢いは必ずや午後の部にも波及しているはずと推測していたら、予想通り。むしろ昼の部を凌駕していた。太夫、三味線、人形遣いの意気込みがその場にいるだけ肌身に感じられるほど強…
太夫、人形、三味線共に若手に一新された舞台。2014年8月にもそれまでの大御所の方々が退き、若手布陣でこの狂言を演じたのを見ている。とても感動したのだけれど、今回も同じ感動があった。このブログ記事にもしているので、リンクしておく。今回の構成は以…
チラシ表がこの演目のもの。 構成は以下。 浪花入江の段 主計之介早討の段 正清本城の段 演者一覧は以下のチラシをご覧あれ。また、概要はその下にアップしておいた。 初めて見る狂言。多分歌舞伎でも見ていない。時代物でもあまり人口に膾炙していない芝居…
ネット経由では良席が取れず、仕方なく外国人向けの公演にしたのだけど、思わぬ役得が。文楽劇場がこういう意欲的な試みをしていたとは!驚いたと同時に嬉しかった。名付けて、「Discover BUNRAKU」。以下がその内容。日本語のオリジナルを併記する。 Ninin …
最近になって「大夫」が「太夫」に変更になっているのに気づいた。「太夫」は「大」の中に点が入っているのを「ちょぼ」とよんで、歌舞伎語りの太夫に適用、人形浄瑠璃の語り手には使わないと聞いていたので、意外。以下「日経」の記事。 文楽協会と日本芸術…
8月20日のことだという。3月に引退されていたんですね。最近は姿をお見かけしないと思っていた。以前ほど文楽に頻繁に行かなくなったのもあるけど、最近は若手の人形遣い、大夫さんたちが活躍されるようになっていたので、年配の演者が舞台に上がっておられ…
ほぼ通しの、[豆腐屋の段/埴生村の段/土橋の段]だった。「累(かさね)」として知られる狂言、『色彩間苅豆』を何回か歌舞伎で見ている。ただし通しではなく、最後の土橋の場面のみが多かった。私の記憶に残っているのは富十郎と菊五郎のかさねだったのだ…
昼・夜とで通し狂言を演じるという、意欲的なプログラム。 以下、チラシをアップしておく。 大夫、三味線とも肉体的にはかなりハードなはず。観客にとってもかなりしんどいもの。肉体的にだけでなく、精神的にも。ほとんどの方が私よりは年上(?)と思われ…
狂言の『釣女』が歌舞伎舞踊になり、そのあとで文楽になったもの。以下がチラシにあった概要。 <大夫> 太郎冠者 津駒大夫 大名 芳穂大夫 美女 希大夫 醜女 咲甫大夫<三味線> 團七 清丈 龍爾 燕二郎<人形> 太郎冠者 一輔 大名 文昇 美女 紋臣 醜女 玉佳…
「座摩社の段/野崎村の段」と二段だった。「座摩社の段」は文楽でも歌舞伎でも見たことがない。野崎村の段」は文楽、歌舞伎ともによくかかる演目なので、何度か観ている。「野崎村」の「切り前」を語られた呂勢大夫さんの語りに、聴き入ってしまった。彼の…
つい三日前、第二部の近松作『国性爺合戦』を観たのだけど、「千里が竹虎狩りの段」まで観てから退出した。疲れていた所為か余り楽しめなかった。集客もここ二年ばかりの盛況振りに比べると、あまり入っているとはいえなかった。今日、急遽観に行こうと考え…
『生写朝顔話』の構成は以下の6段。 宇治川蛍狩の段/真葛が原茶店の段/岡崎隠れ家の段/ 明石浦船別れの段/薬売りの段/浜松小屋の段第2部全部と第3部の後半で「通し」になっていてる。残念ながら第3部は観ていない。ただ第3部の「嶋田宿笑い薬の段…
土曜日ということで、満員の観客だった。能のアダプテーションの『靭猿』、「口上」、『一谷嫩軍記』、そして『卅三間堂棟由来』と続いた。『一谷嫩軍記』の後、30分休憩があったのだけど、疲れてしまい、友人には申し訳なかったけど退出した。この前の興行…
すばらしかった!文楽に新しい地平が拓けたのに立ち会うという、貴重な体験だった。その証左は観客動員数に如実に現れている。大御所の死去、引退等により、さらには橋下市長の文楽予算削減の発言によって引き起こされた危機感により、今まで前面に出て来て…
杉坂墓所の段/毛谷村の段の二段が演じられた。主たる大夫、三味線、人形遣いは以下。 「杉坂墓所の段」 大夫 六助 松香大夫 弾正 津国大夫 佐五平 南都大夫「毛谷村の段」 中語り 咲甫大夫 三味線 清介切語り 咲大夫 三味線 燕三人形 六助 玉女 弾正 玉輝 …
友人が大阪府の半額チケットを予約しておいてくれた。下手の前から2列目の席だったので、二人で「字幕を見ると首が痛くなるよね」と言い合っての観劇。ほぼ4時間の通し狂言。首を上に向けたままでの観劇は少々きつかったけど、十分にその値打ちがあるものだ…
午後6時開演で、ほぼ3時間の長丁場。間の休憩は15分のみ。演じる側も大変だろうが、観ている側もかなりの覚悟の要る公演。最近の文楽はこういう長丁場が多い。へたれの私はたいてい疲れ果ててしまうのだけれど、この日はまったくそういう「長さ」を感じさせ…
ずっと文楽で見たいと願っていた演目。歌舞伎では観たことがない。データーベースで検索したら1980年以来なかったよう。道理で。篠田正浩監督が岩下志麻、郷ひろみ主演で映画化した『近松門左衛門 鑓の権三』はDVDで観ている。でもそんなに高い評価ができな…
以下がサイトからの構成。 第2部 三段目 車曳の段 茶筅酒の段 喧嘩の段 訴訟の段 引退狂言 桜丸切腹の段 四段目 天拝山の段 寺入りの段 寺子屋の段 住大夫引退公演、しかも明後日が千秋楽ということで満席だった。先日よりも観客席がずっと明るい感じがした…
通し狂言 『菅原伝授手習鑑』 第1部 <初 段> 大内の段 加茂堤の段 筆法伝授の段 築地の段 <二段目> 杖折檻の段 東天紅の段 丞相名残の段 国立文楽劇場へはここ20年近くの間、年に5、6回以上は来ているが、こんなに多い人は初めてだった。住大夫さん引…
2011年10月16日に宿泊していた東京のホテルでNHK eテレの「杉本博司が挑む『曾根崎心中』」をみて以来(このブログ記事にもしている)、ずっと生の舞台を体験したいと願って来た。その公演をこの土曜日にやっと観ることができた。ヨーロッパ公演(マドリード…
以下チラシから。 「四条河原の段」 大夫 文字久大夫 三味線 宗助 「堀川猿廻しの段」 切 住大夫 三味線 錦糸 後 英大夫 三味線 清介 <配役> 伝兵衛 和生 おしゅん 文雀 与次郎 玉女 官左衛門 幸助 勘蔵 亀次<あらすじ> 井筒屋伝兵衛と祇園の遊女おしゅ…
友人が抽選で半額券を入手してくれたのだが、第一部は抽選に当たらなかったという。通し狂言だったので、前半を観ていないとどうしても話がよく分からない。歌舞伎でも前半部の「沼津」の段はよく上演されるので、その部分だけは知っていた。あの段だけ単独…
歌舞伎では、「河庄の段」、「天満屋から大和屋の段」、「道行」ともに近松の原作を上方調に「改訂」して演じられることが多い。それは近松の他の作品、『曾根崎心中』などでも同様である。だからストイックな、ミニマリスト的な浄瑠璃の語りは、逆に新鮮で…
先週の木曜日に友人と夜の部、『心中天網島』をみたが、それについての記事は別稿にしたい。その折、床に近い前の席があまり埋まっていなかったので、この昼の部もしかりかと思ったら、けっこう埋まっていて、ホッとした。つい昨夜、インターネットで席を確…